PK戦のすべてがわかる!
サッカーの試合で最も手に汗握る瞬間のひとつ、「PK戦」。このページでは、その基本的なルールから、知られざる歴史、驚きの世界記録まで、あらゆる情報を分かりやすく、そして深く解説します。
基本のキ!「PK」と「PK戦」は別物です
サッカー観戦を始めたばかりの方がよく混同するのが、試合中の「ペナルティーキック(PK)」と、試合後の「PK戦」です。これらは発生する状況もルールも全く異なります。まずはこの違いをはっきりさせましょう。
| 比較項目 | ペナルティーキック (PK) | PK戦 (ピーケーせん) |
|---|---|---|
| いつ行われる? | 試合時間中(前半・後半・延長戦) | 全試合時間(延長戦含む)が終了し、それでも同点の場合 |
| 目的は? | ペナルティーエリア内での守備側の反則に対する罰則 | 試合の勝敗を決着させるためのタイブレーク方式 |
| 参加する選手は? | キッカー1人とゴールキーパー1人。他の選手はエリア外へ。 | 両チームから選ばれたキッカーが交互に蹴る |
| 試合への影響は? | ゴールが決まれば1点追加。試合はその後も続く。 | PK戦でのゴールは試合のスコアには記録されず、あくまで勝者を決めるためのもの。 |
心臓が飛び出る緊張感!PK戦の公式ルールを徹底解説
キックオフ前の静かなる戦い
PK戦は、主審のコイントスから始まります。このコイントスは2回行われることもあり、非常に重要です。
- ゴールを選ぶ:まず、どちらのゴールに向かって蹴るかをコイントスで決定します。これは通常、ピッチコンディションや自チームのサポーターがいる側などを考慮してキャプテンが選びます。
- 先攻・後攻を決める:次に、どちらのチームが先に蹴るかを決めるコイントスを行います。統計上、先攻が有利とされるデータもあり、キャプテンの重要な決断となります。
- キッカーの選出:両チームは、試合終了時にフィールドにいた選手の中からキッカーを5人選び、蹴る順番と共に主審に提出します。ゴールキーパーもキッカーになることができます。
- 人数を揃える:もし試合終了時に一方のチームの人数が少ない場合(退場者が出た場合など)、もう一方のチームも同じ人数になるまで選手を減らし、PK戦に臨む選手数を均等にします。
PK戦の歴史と記憶に残る記録
コイントスから生まれた画期的なルール
今では当たり前のPK戦ですが、導入されたのは1970年と比較的最近のことです。それ以前は、再試合や、驚くべきことに「コイントス」で勝敗を決めていました。
有名な例として、1968年の欧州選手権準決勝で、イタリアがソ連を相手にコイントスで勝利し、決勝に進出したという出来事があります。このような運任せの決着方法への批判から、より競技的なタイブレーク方式としてPK戦が考案されました。
ワールドカップの舞台で初めてPK戦が採用されたのは、1982年スペイン大会の準決勝、西ドイツ対フランス戦です。この死闘は、サッカー史に残る名勝負として今も語り継がれています。
終わりなき戦い?長すぎるPK戦記録
もっと知りたい!PK戦の豆知識
幻の「ABBA方式」
PK戦では先攻が有利というデータがあるため、その不公平感をなくそうと、2017年にテニスのタイブレークのような「ABBA方式」(A→B→B→A→A…)が試験的に導入されました。しかし、複雑で分かりにくいという理由から、わずか1年ほどで廃止され、元の「ABAB方式」に戻りました。
キーパーの細かいルール
ゴールキーパーは、キッカーがボールを蹴る瞬間、少なくとも片足の一部がゴールラインに触れていなければならない、という厳しいルールがあります。以前は両足がライン上にないといけませんでしたが、ルールが改正されました。VARの導入により、この反則が厳密にチェックされるようになっています。
キッカーのフェイントはどこまでOK?
キッカーは助走中にフェイントを入れることは許されています。しかし、助走を完全に終えて蹴る直前に一度止まってキーパーの動きを見てから蹴る、いわゆる「直前でのフェイント」は禁止されており、イエローカードの対象となります。
よくある質問 (FAQ)
はい、なれます。PK戦に参加する資格があるのは「試合終了時にフィールドにいた選手」なので、ゴールキーパーもキッカーとして蹴ることができます。サドンデスが長引いた際には、キーパーが蹴る場面も珍しくありません。
いいえ、原則として交代はできません。PK戦が始まった時点でフィールドにいる選手が参加資格を持ちます。ただし、ゴールキーパーが負傷してプレー続行が不可能になった場合に限り、交代枠が残っていれば交代が認められることがあります。
はい、得点になります。キッカーが一度ボールを蹴った後、ボールがゴールラインを越えるまでプレーは続行します。そのため、ポストやクロスバー、またはゴールキーパーに当たってからゴールに入った場合でも、正規のゴールとして認められます。キッカーが再度ボールに触れることはできません。






コメント