はじめに:8人制サッカーのフォーメーション、”なんとなく”で選んでいませんか?
「一体どのフォーメーションが一番強いのだろう?」「うちのチームの子どもたちには、どのフォーメーションが合っているのだろうか?」少年サッカーの指導者や保護者の皆様であれば、一度はこのような疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。目の前の試合に勝ちたい気持ちと、子どもたち一人ひとりの成長を願う気持ちの間で、最適な答えを見つけるのは決して簡単なことではありません。
実際に、多くのチームが手探りの状態でフォーメーションを選んでいるのが現状です。ある指導者は、「息子が所属していたチームは、2年生から3年生にかけて3-3-1を経験しましたが、当時はチームも指導者も、そして保護者も、これからどう戦っていけば良いのか手探りの段階でした」と振り返っています。このお悩みは、決して特別なものではなく、多くの指導者が通る道なのです。
この記事は、単にフォーメーションの種類を並べたカタログではありません。フォーメーション選択の難しさの根底には、少年サッカーが本質的に抱える「短期的な勝利」と「長期的な育成」という二つの目的の間の葛藤が存在します。例えば、目先の勝利だけを考えれば、最も安定した守備的な布陣を選ぶかもしれません。しかし、選手の成長を第一に考えるならば、あえて選手の苦手なポジションを経験させ、可能性を引き出す選択も必要になります。
本稿では、こうした現場のリアルな悩みに寄り添いながら、チームの哲学や選手の成長に直結するフォーメーションの「考え方」と「選び方」を、具体的かつ深く掘り下げて解説していきます。この記事を読み終える頃には、自チームにとっての「最適解」を見つけるための、確かな羅針盤を手にしているはずです。
【最重要】自チームに最適な8人制サッカーのフォーメーションを見つける3つの着眼点
具体的なフォーメーションの解説に入る前に、最も重要となる「選び方の哲学」についてお伝えします。それは、既存のフォーメーションに選手をパズルのように当てはめるのではなく、常に「選手」から出発して考えるという視点です。この大原則を理解することが、成功への第一歩となります。
1. すべての原点:「選手の特徴」から考える
チームに最適なフォーメーションを考える上で、何よりも優先すべきは、ピッチに立つ選手一人ひとりの個性や能力です。指導者が理想とするサッカーがあったとしても、選手の特徴と合っていなければ、選手に過度な負担を強いるだけで、本来持っている能力を発揮させることはできません。
まずは自チームの選手たちをじっくりと観察することから始めましょう。
- チームで一番足の速い選手は誰か?
- 1対1の守備で粘り強さを発揮する選手は?
- 広い視野を持ち、落ち着いてボールを配給できる選手はいるか?
- 前線で体を張ってボールを収められる選手はいるか?
例えば、「JFA 第47回全日本U-12サッカー選手権大会」で活躍したFCリバースの青木琉壱選手のように、前線でボールを確実に収め、攻撃の起点となれる強力なFWがいるチームであれば、その選手の能力を最大限に活かすために、彼をターゲットにできる1トップのシステム(例:3-3-1や2-4-1)が有効な選択肢となるでしょう 5。
強豪クラブである横浜F・マリノスU-12を率いる西谷監督も、選手の可能性を引き出すために、固定観念に囚われず頻繁にポジションを変更させると語っています。フォーメーションは選手を縛るためのものではなく、その輝きを最大限に引き出すためのツールであるべきなのです。
2. 指導者が描く「理想のサッカースタイル」から考える
選手の特徴を最大限に活かすという前提のもと、指導者自身がどのようなサッカーを目指したいのか、というビジョンもまた、フォーメーション選択における重要な要素となります。指導者が経験豊富で、特定のフォーメーションに対して「うまくいくイメージ」を持っているのであれば、その自信が選手にも伝わり、結果的に選手の能力を引き出すことにも繋がります。
- ポゼッションサッカー: ボールを保持して試合の主導権を握りたいのであれば、中盤に人数を多く配置する2-4-1や、スペインの強豪アトレティコ・マドリーU-11が採用したような流動性の高い3-1-2-1などが考えられます。
- 堅守速攻: 守備を固めてから素早いカウンターでゴールを狙うのであれば、守備のバランスが良い3-3-1や、より守備的な4-2-1が適しているでしょう。
- サイド攻撃: サイドを起点に攻撃を組み立てたいのであれば、サイドハーフの役割が明確な2-4-1がそのスタイルを実現しやすくなります。
指導者が描く理想のサッカーを実現しやすいフォーメーションを選ぶことは、チームに一貫性をもたらし、日々のトレーニングの目的を明確にする上でも非常に効果的です。
3. クラブ・チームが掲げる「育成哲学」から考える
最後に、クラブやチーム全体として、どのような選手を育て、どのようなサッカースタイルを標榜するのかという「育成哲学」も、フォーメーションを決定する上での大きな指針となります。クラブによっては、どの学年でも一貫したプレーモデルのもとでサッカーを行う方針を掲げている場合があります。
このアプローチの利点は、選手たちが年代を上がるにつれて、スムーズに次のステップのサッカーに適応できる点にあります。例えば、ある指導者は、育成段階に応じてフォーメーションを使い分けており、U-10では基礎的な動きを学びやすい3-2-2を採用し、より戦術的な理解が求められるU-12では2-3-2を採用する、といった段階的なアプローチを取っています。
このように、フォーメーションは単なる選手の配置図ではなく、そのチームの「プレーモデル」や「アイデンティティ」そのものを体現するものです。しかし、現場では「クラブはポゼッション志向の2-4-1を推奨しているが、今年のU-12は守備的な選手が多く、指導者としては堅守速攻の3-3-1の方が勝ちやすく、選手の特性にも合っている」といったジレンマが生じることも少なくありません。この「選手」「指導者」「クラブ」という3つの要素のバランスを取り、自チームにとっての最適な妥協点を見つけ出すことこそ、指導者に求められる重要な役割なのです。
【完全版】8人制サッカーの定番フォーメーション5選 徹底比較
ここでは、日本の少年サッカーで広く採用されている5つの定番フォーメーションについて、それぞれの「構造上の利点(そのフォーメーションが元々持っている強み)」と「意図的に改善しないと機能しない部分(トレーニングで補うべき弱み)」という観点から、深く掘り下げて比較・解説します。
3-1. 攻守のバランスに優れる王道【8人制サッカーの3-3-1】
3-3-1は、日本の8人制サッカーにおいて最もポピュラーで、多くのチームが採用している王道のフォーメーションです。その最大の特徴は、ピッチ上に選手がバランス良く配置されていることによる安定感にあります。
構造上の利点として、DF、MF、FWの各ラインが縦横に整然と並んでいるため、初期配置の段階で既に守備ブロックが形成されやすい点が挙げられます。これにより、選手たちはアプローチやカバーリング、横方向へのスライドといった組織的な守備の基礎を非常に学びやすくなっています 7。
しかし、その安定感と引き換えに、意図的に改善しないと機能しない部分も存在します。最も顕著なのが攻撃面です。選手配置が直線的であるため、斜めのパスコースが生まれにくく、意識的に選手が動いてサポートに入らなければ、攻撃がFWの個人能力頼みになったり、単調なものになったりする危険性があります。
このフォーメーションの心臓部となるのが、中盤の中央に位置する選手です。横浜F・マリノスの西谷監督は、このポジションの重要性を強調しており、「この選手が安易にボールを奪われると、ぽっかりと空いたスペースを突かれて一気に主導権を握られてしまう。攻守のバランスを的確に判断できる能力が不可欠だ」と指摘しています。守備時には、ボールサイドにプレスをかけた味方の斜め後ろにポジションを取り、中央への侵入を防ぐ「ディアゴナーレ(斜めの関係)」を築くなど、高度な戦術眼が求められます 8。
項目 | 解説 | |
構造上の利点 | ・縦横のラインが整理されており、初期配置で守備ブロックを形成しやすいです。 |
・各ポジションの役割が明確で、組織的な守備の基礎戦術を学びやすいです。 |
改善が必要な部分 | ・選手配置が直線的なため、意識的に動かないと斜めのパスコースが生まれにくいです。 |
・攻撃が単調になりやすく、FWが孤立する可能性があります。 |
キーポジションの役割 | 中央MF: チームの心臓部。攻守の切り替えの判断、的確なポジショニング、ボール奪取能力など、総合的な能力が求められます。この選手の出来がチームの勝敗を左右します。 |
3-2. 中盤の支配力を高める【8人制サッカーの2-4-1】
2-4-1は、3-3-1と並んで近年多くのチームに採用されている人気のフォーメーションです 3。その最大の特徴は、中盤に4人の選手を配置することで、中央エリアでの数的優位を確保しやすい点にあります。
構造上の利点は、何と言っても攻撃のビルドアップのしやすさです。横浜F・マリノスの西谷監督が「DFが2人だと、攻撃のビルドアップはやりやすい」と述べるように、GKからボールを受けた2人のDFが左右に開くことで、中盤の4人と連携しながらスムーズにボールを前進させることが可能です 3。ポゼッションサッカーを目指すチームにとっては非常に魅力的なシステムと言えるでしょう。相手のフォーメーションが3-3-1の場合、中盤で4対3の数的優位を作れるため、試合を優位に進めやすいという側面もあります。
一方で、意図的に改善しないと機能しない部分は守備面に集中します。DFが2枚しかいないため、DFラインの両脇に広大なスペースが生まれやすく、そこを相手に突かれると一気にピンチを招きます。この弱点をカバーするため、両サイドハーフの選手には、攻撃時には相手陣深くまで攻め上がり、守備時には自陣深くまで戻ってDFラインを助けるという、膨大な運動量と戦術理解度が要求されます 11。攻守の切り替え時に、チーム全体で誰がどこをカバーするのか、という約束事を徹底的にトレーニングしなければ、システムは簡単に崩壊してしまうでしょう。
項目 | 解説 | |
構造上の利点 | ・中盤に4人を配置するため、中央での数的優位を確保しやすく、ボールポゼッションを高めやすいです。 |
・DF2枚でのビルドアップがしやすく、スムーズに攻撃を組み立てられます。 |
改善が必要な部分 | ・DFラインの両脇に広大なスペースが生まれやすく、そこをカバーする戦術が必須です。 |
・サイドハーフに攻守両面で非常に高い運動量と戦術理解が求められます。 |
キーポジションの役割 | サイドハーフ: チームの生命線。攻撃の起点となると同時に、守備では相手のサイド攻撃をケアする重要な役割を担います。このポジションの選手の運動量と献身性が、フォーメーションの成否を分けます。 |
3-3. 攻撃的な魅力を秘めた【8人制サッカーの2-3-2】
2-3-2は、前線に2人のFWを配置する、非常に攻撃的なフォーメーションです。そのダイナミックな試合展開から、特に個々の選手の対戦経験を積ませたい低学年で採用されることも多いシステムです。
構造上の利点として、選手の初期配置から斜めの関係が数多く形成されており、パスの受け手がボールを受けやすい「トライアングル」が自然に作られる点が挙げられます。これにより、ボールがスムーズに循環しやすくなります。また、2トップの存在は攻撃のバリエーションを豊かにします。一人のFWが相手DFを引きつけてスペースを作り、もう一人のFWがそのスペースに走り込むといった、2人組ならではの流動的なコンビネーション攻撃を展開しやすいのが大きな魅力です。
この攻撃的な魅力の裏返しとして、意図的に改善しないと機能しない部分は守備の脆さです。最大の弱点は、DFが2枚しかいないことによる中央守備の薄さ、特にセンターバック(CB)脇の広大なスペースを相手に使われやすい点です。サイドを突破された際に、CBがサイドに対応に出ると、中央に危険なスペースが生まれてしまいます。このスペースを中盤の選手が素早くカバーに戻る、あるいは逆サイドの選手が絞って対応するなど、チーム全体で連動した守備の約束事を徹底しなければ、大量失点につながるリスクを常に抱えることになります。
項目 | 解説 | |
構造上の利点 | ・初期配置から斜めのパスコースが確保されており、ボールが循環しやすいです。 |
・2トップのコンビネーションにより、流動的で多彩な攻撃を展開できます。 |
改善が必要な部分 | ・DFが2枚のため、センターバック脇のスペースを突かれやすいという明確な弱点があります。 |
・前線のFWも含めたチーム全体での組織的なプレッシングと、失点後の素早いカバーリングが不可欠です。 |
キーポジションの役割 | 2人のFWと中央MF: 攻撃では2トップの連携が、守備では中央MFの広範囲なカバーリング能力が鍵となります。特に中央MFは、CB脇のスペースを埋めるという極めて重要な守備的タスクを担います。 |
3-4. 流動的な攻撃を生み出す【8人制サッカーの3-2-2】
3-2-2は、3枚のDFラインによる守備の安定性をベースにしながら、前線の2トップと中盤の2枚のMFが絡むことで、流動的な攻撃を目指すフォーメーションです。3-3-1の守備力と2-3-2の攻撃力を併せ持つ、バランス型のシステムと位置づけられます。
構造上の利点は、DFラインで守備ブロックを形成しやすく、守備の安定感を保ちやすいことです。攻撃面では、前線の4人(FW2人、MF2人)が近い距離でプレーするため、ポジションチェンジやパス交換を駆使した、動きのある攻撃を展開しやすいという特徴があります。
しかし、その流動性は諸刃の剣でもあります。意図的に改善しないと機能しない部分として、選手が自由に動くことで、本来いるべきポジションが空いてしまい、全体のバランスが崩れやすくなるという点が挙げられます。例えば、MFの一人が攻撃参加した際にできたスペースを、もう一人のMFやFWが埋める動き(ネガティブ・トランジション)や、攻撃に参加していない選手がカウンターに備えて守備的なポジションを取る動き(ビヒランシア・オフェンシーヴァ)といった、高度な戦術的判断とチーム内での共通理解がなければ、攻守が分断された非効率なサッカーに陥ってしまいます。
3-5. 堅守速攻を狙う【8人制サッカーの4-2-1】
4-2-1は、DFラインに4人の選手を配置する、非常に守備的なフォーメーションです。その最大の目的は、自陣ゴール前を固めて失点を最小限に抑えることにあります。
構造上の利点は、言うまでもなくその堅牢な守備力です。DFが4枚いることで、最終ラインで相手にスペースを与えにくく、特に押し込まれた状況でも粘り強く対応することが可能です。ボールを奪った後は、前線に残ったFWをターゲットにしたカウンター攻撃が主な得点パターンとなります。
このフォーメーションが機能するかどうかの鍵は、意図的に改善しないと機能しない部分である「守備から攻撃への切り替え」にあります。DFラインの選手がただ自陣に引いているだけでは、相手にミドルシュートを打たれたり、DFラインの手前で自由に起点を作られたりしてしまいます。重要なのは、DFラインの選手、特に両サイドバックがいかに勇気を持って前へ出てプレスをかけ、ボールを奪うかという動きです。ある解説では、サイドバックの動きを「将棋の香車のように、引いた位置から鋭く前進する」と表現しており、守備的なポジションの選手が攻撃の第一歩を担う意識が不可欠です 15。また、プレスの開始位置を高く設定すれば2-4-1のような形に変化するなど、可変システムのベースにもなり得る柔軟性も秘めています。
【応用編】常識を覆す!8人制サッカーの発展的フォーメーション
定番のフォーメーションを理解した上で、さらに一歩進んだサッカーを目指す探求心旺盛な指導者の皆様へ。ここでは、相手の常識を覆し、試合の主導権を握るための発展的なフォーメーションをご紹介します。
4-1. 相手を混乱させる「4ライン」フォーメーションとは?~アトレティコ・マドリーに学ぶ最先端~
日本の少年サッカーでは、DF-MF-FWという「3ライン」で構成されるフォーメーションが主流です。しかし、世界のトップレベルでは、相手を戦術的に上回るために「4ライン」のフォーメーションが採用されることがあります。その最大の狙いは、相手のDFラインとMFラインの「間(ま)」、いわゆる「ライン間」と呼ばれるスペースに意図的に選手を配置し、相手の守備に「誰がマークにつくのか?」という混乱を生じさせることにあります。
この最先端の戦術をジュニア年代で実践し、衝撃を与えたのが、スペインの強豪アトレティコ・マドリーのU-11チームです。彼らは「2018 COPA BELLMARE」という大会で、「3-1-2-1」という4ラインのフォーメーションを採用しました。これは、DF3人の前にアンカー(守備的MF)を1人、その前にインサイドハーフ(攻撃的MF)を2人、そして最前線にFWを1人置く布陣です。このシステムにより、アトレティコの選手たちは中盤で常に数的優位を保ち、ボールポゼッションを高め、アンカーが最終ラインに下りたり、インサイドハーフがサイドに流れたりと、ポジションに縛られない流動的なプレーを展開していました。
この戦術が示唆するものは、単なるフォーメーションの目新しさだけではありません。かつてFCバルセロナの指導者であったセルジ・ミラ氏は、日本人選手に対して「決められたポジションの範囲内でしかプレーしておらず、判断の自由さが足りない」という厳しい課題を指摘しました。3-3-1のような3ラインのシステムは、選手に「自分の持ち場」を意識させやすい一方で、時にそのポジションに縛られてしまう危険性もはらんでいます。
それに対し、3-1-2-1のような4ラインのシステムは、ライン間に立つ選手に「自分はDFなのか?MFなのか?」という役割の曖昧さを与えます。この「曖昧さ」こそが、選手に「自分のポジションはどこか」ではなく、「今、ピッチのどこにスペースがあるのか」「どこに動けば味方を助けられるのか」を常に考えさせるきっかけとなるのです。これは、指導の重点を「役割を教える」ことから「状況を認識させ、判断させる」ことへと移行させる、選手のサッカーIQを根本から育むための極めて有効なアプローチと言えるでしょう。
4-2. 攻撃と守備で姿を変える「可変システム」のメリット・デメリット
可変システムとは、その名の通り、攻撃時と守備時でフォーメーションの形を変化させる戦術です。例えば、ボールを保持して攻撃する際はビルドアップしやすい「2-4-1」の形を取り、ボールを失い守備に転じた際はブロックを組みやすい「3-3-1」の形に戻る、といった運用が考えられます 4。
このシステムの最大のメリットは、攻撃と守備、それぞれの局面でフォーメーションが持つ利点を「良いとこ取り」できる点にあります。攻撃のしやすさと守備の安定性を両立させることができるため、理想的な戦術と言えるかもしれません。
しかし、このシステムを機能させるには、極めて重要な課題をクリアしなければなりません。それは「トランジション」、つまり「攻守の切り替え」の局面です。ボールを失ったまさにその瞬間、選手たちはチームとして統一された判断を下す必要があります。
- 「ボールを奪われたら、すぐに近くの選手がプレスをかけに行くのか?」
- 「それとも、まずは全員が自分の守備位置に戻ることを最優先するのか?」
この判断基準が曖昧なままでは、前線でプレスをかける選手と、後ろでポジションに戻ろうとする選手が分断され、チームの守備は簡単に崩壊してしまいます。可変システムを導入するということは、この切り替えの局面をチームの最優先課題として設定し、選手全員が同じ絵を描けるようになるまで、徹底的にトレーニングを繰り返す覚悟が指導者に求められるのです。
まとめ:フォーメーションは”勝つため”だけの道具ではない
ここまで、8人制サッカーにおける様々なフォーメーションの特性や考え方について解説してきました。3-3-1の安定性、2-4-1の支配力、そしてアトレティコが見せた4ラインの先進性。それぞれのフォーメーションに魅力があり、どれが絶対的な正解ということはありません。
最も大切なことは、フォーメーションが単に試合に勝つための「道具」ではなく、子どもたちの成長を促すための「教材」であるという視点です。ある指導者が語るように、育成年代においては、「相手の良さを消すことよりも、自分たちの良さを消さないことを優先してフォーメーションを組むべき」なのです。
横浜F・マリノスの西谷監督が、選手の将来を見据えてあえて様々なポジションを経験させるように、目先の1勝よりも、選手たちがサッカーを理解し、判断力を養い、仲間と協力する喜びを知ることの方が、はるかに価値があります。
究極的に言えば、フォーメーションとは「選手間のコミュニケーションを円滑にするための設計図」です。優れたフォーメーションのもとでは、選手たちはピッチ上でお互いの次の動きを予測し、自然と助け合い、チームとして一つの生き物のように連動することができます。
この記事で得た知識が、皆様のチームにとって唯一無二の「最高の設計図」を描くための一助となれば、これに勝る喜びはありません。
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