初心者コーチが陥りやすい「メニュー病」から抜け出す
練習名より大切なのは、その練習がどの試合課題につながるかです。メニューを足す前に、子どもたちが試合で何に困っているのかを観察します。
形をまねる前に、現象を言葉にする
たとえば「パスミスが多い」と見えた場面でも、原因はキックの技術だけとは限りません。受ける前に見ていない、身体の向きが閉じている、味方のサポート角度が悪い、守備者の寄せを感じて慌てている。コーチはまず、失敗の奥にある現象を分けて観察します。
そこで使いやすいのが、Match-Exercise-Matchの考え方です。最初のゲームで課題を発見し、短い練習で焦点を絞り、最後のゲームで変化を確認する。これだけで、練習が「消化する時間」から「試合をよくする時間」へ変わります。
「いまの失敗は、技術・認知・サポート・姿勢・ルール設定のどれが原因だったか?」と分けて見ると、次に選ぶ練習が自然に決まります。
Match
冒頭のゲームは診断です。コーチは止めすぎず、課題が何度も出る場面をメモします。
Exercise
課題を1つに絞ります。ルールや人数を調整し、選手が成功と失敗を短い周期で経験できる形にします。
Match
最後は再びゲームへ戻します。練習した行動が試合の中で出たかを確認し、次回のテーマへつなげます。
年齢と発育段階に合わせて、練習の狙いを変える
同じ「パス練習」でも、低学年はボールに触れる楽しさ、高学年は相手を見て選ぶ判断、中学生年代は連動と切り替えが主役になります。
年代別メニュー例
対象年代を切り替えると、同じ80分練習でも目的の置き方が変わります。
4ゴールゲームの見方
ゴールを4つ置くと、子どもは自然に「どちらが空いているか」を見始めます。コーチは答えを先に言うより、「今、逆は見えた?」と短く問いかけます。
今日のテーマを1つに絞ると、練習はまとまる
いろいろ教えたい日ほど、テーマを1つに絞ります。選手が覚えて帰れる言葉を短くすると、最後のゲームで変化が見えやすくなります。
テーマ別80分プラン
ボタンを押して、練習の骨組みを切り替えられます。
受ける前に見ているか、サポート角度があるかを観察します。
止める位置、身体の向き、次の選択肢を整理します。
広い方を見る行動が出たかを確認します。
勝負する場所と、無理に突っ込む場所を見分けます。
相手の足、重心、味方の位置を見て選択します。
抜くためのドリブルと、運ぶためのドリブルを使い分けます。
飛び込む、間合いが遠い、カバーがない、のどれが多いかを見ます。
速く寄せる、減速する、半身で誘導する、カバーに入る順番を整理します。
守備が攻撃の始まりになる感覚を作ります。
練習前チェック
準備が整うほど、コーチングは落ち着きます。
技術の前に、動ける姿勢を整える
キックやドリブルの細部に入る前に、重心・骨盤・足裏の感覚を整えると、方向転換や次の一歩が出やすくなります。
「母指球に乗る」は、動き出しの準備
かかと重心で膝が伸び切ると、次の一歩が遅れやすくなります。ウォーミングアップでは、つま先立ちで伸びる、腕を大きく回して胸を開く、軽く沈んで前後左右へ動く、という流れで身体を起こします。
ただし、姿勢づくりは痛みを我慢して行うものではありません。足や膝に痛みがある場合は練習量を調整し、必要に応じて専門家へ相談します。
| 観察ポイント | よくある状態 | 声かけ例 |
|---|---|---|
| 足裏 | かかとに体重が残り、反応が遅れる | 「足の親指の付け根で地面を押してみよう」 |
| 骨盤 | 腰が落ち、上半身が後ろへ残る | 「胸を少し前、すぐ走れる形で止まろう」 |
| 視線 | ボールだけを見て周囲が見えない | 「触る前に、味方と相手を1回見よう」 |
母指球重心と、次の一歩へ移れる姿勢のイメージ
コーチ自身の学びも、選手の環境づくりの一部
自己流で悩み続けるより、体系的に学ぶ場を持つと、練習設計・安全管理・声かけの基準が増えます。
JFA公認ライセンスの集合講習日数
グラフを表示できない場合は、キッズリーダー1日、Dライセンス2日、Cライセンス8日、Bライセンス13日、Aジェネラル18日、Proライセンス62日以上を目安に確認してください。
JFA公式ページ掲載の「2024年実績」の集合講習日数を基にした概略図です。募集要項や受講料は年度・開催団体で変わるため、申込前に公式情報を確認してください。
最初の一歩は、キッズリーダーやD級から
JFAの指導者養成講習会は、キッズリーダー、D、C、B、Aジェネラル、Proなどの段階があります。公式ページでは、Cライセンスを基礎I、Bライセンスを基礎IIとして位置づけ、指導者としての基礎を学ぶ流れが示されています。
少年サッカーの現場では、いきなり難しい戦術を増やすより、安全に楽しくプレーできる場を作り、子どもの判断を支える声かけを増やすことが大切です。講習会は、その基準を持つための有効な入り口になります。
受講申込はKICKOFFなどの公式導線で確認します。日程、費用、受講条件は都道府県FAや年度で変わるため、記事内では固定情報として扱いすぎないのが安全です。
練習づくりで迷いやすい質問
完璧なメニューを作るより、毎回の観察と修正を積み重ねる方が、チームの成長につながります。
初心者コーチは、まず何から練習を組めばいいですか?
最初は「ゲーム、短い練習、ゲーム」の3部構成で十分です。最初のゲームで出た課題を1つ選び、最後のゲームで同じ場面が改善したかを見ます。
低学年でも戦術を教えてよいですか?
言葉で詰め込むより、ルール設定で自然に気づかせる方が向いています。4ゴールゲームや少人数ゲームで「空いている場所を見る」経験を増やします。
練習が盛り上がらないときはどう修正しますか?
待ち時間が長い、成功が少なすぎる、ルールが難しい、のどれかを疑います。人数を減らす、コートを狭くする、得点条件を簡単にするだけでも雰囲気が変わります。
保護者への説明は何を伝えればいいですか?
今日の狙い、子どもに期待する行動、家庭での見守り方を短く共有します。「勝ったか」だけでなく「見て選べたか」「チャレンジできたか」を一緒に見てもらえると、選手が伸びやすくなります。
練習設計と合わせて読みたい関連記事
メニューを増やすより、練習の狙い、原理原則、8人制の構造、自主練との接続を合わせて読むと理解が深まります。
制作メモと参照リンク
ライセンス制度など変更される可能性がある情報は、公式ページへの確認導線を残しています。
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