2026年ワールドカップでは、試合中の時間稼ぎを減らし、実際にボールが動いている時間を増やすための新ルールが複数導入されました。
スローインやゴールキックの遅延に対する5秒カウント、交代選手の10秒ルール、負傷者の1分間退場、VARの介入範囲の拡大など、観戦スタイルにも影響する変更が含まれています。
これらの新ルールは、2026-27シーズンのJリーグやプレミアリーグ、ブンデスリーガなどの欧州5大リーグでも採用されます。
ただし、すべてのルールが各国リーグに同じように導入されるわけではありません。IFABの競技規則として世界共通で適用される変更と、各リーグが採用を選べる任意制度、ワールドカップだけで使われた技術の3つに分かれます。
この記事では、2026年ワールドカップの新ルールをひとつずつ解説したうえで、Jリーグ、欧州主要リーグ、UEFA大会の2026-27シーズンにおける採用状況を整理します。
ハイドレーションブレイクやゴールキーパーの8秒ルールについても、よくある疑問に答えます。
2026年7月31日時点で確認できる情報をもとに構成しています。
- そもそもサッカーの競技規則は誰が決めるのか
- 2026年ワールドカップで導入された主な新ルール一覧
- スローインとゴールキックの5秒カウント
- 交代選手の10秒ルール
- 治療を受けた負傷者の原則1分間退場
- 2枚目のイエローカードへのVAR介入
- 誤ったコーナーキックのVAR確認は任意制度
- Jリーグの2026-27シーズンで採用される新ルール
- ヨーロッパ主要リーグの2026-27シーズン採用状況
- ワールドカップで使用されたがリーグ戦への導入が決まっていないシステム
- ハイドレーションブレイクはワールドカップ限定なのか
- ゴールキーパーの8秒ルールは2026-27シーズンの新ルールではない
- 「キャプテンのみ」プロトコルの義務化
- 新ルールによって試合はどう変わるのか
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
そもそもサッカーの競技規則は誰が決めるのか
新ルールの内容を正しく理解するために、まずサッカーの競技規則がどのように決まるのかを簡単に整理します。
サッカーのルールを制定・改正する権限を持つのは、IFAB(国際サッカー評議会/International Football Association Board)です。
IFABは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つのサッカー協会と、FIFA(国際サッカー連盟)で構成されています。
毎年2月から3月に年次総会が開催され、競技規則の改正案が議論されます。改正には8票中6票以上の賛成が必要です。
IFABで決定された競技規則は、FIFA傘下のすべての国際試合と国内試合に適用されます。つまり、Jリーグや欧州各国リーグも、IFABの規則に従う義務があります。
ただし、IFABが「競技会の判断に委ねる」と定めた任意制度については、各リーグや大会が採用するかどうかを選べます。
この仕組みを理解しておくと、「なぜ同じシーズンなのにリーグごとに対応が違うのか」という疑問が解消できます。
2026年ワールドカップで導入された主な新ルール一覧
2026年ワールドカップで使用された新ルールのうち、2026-27シーズンの各国リーグにも影響する主な変更は、以下の5つです。
| 必須規定の名称 | 違反時の主なペナルティ・効果 | 戦術的・構造的影響 |
|---|---|---|
| 5秒カウントダウン | スローイン権の移行、または相手へのコーナーキック付与 | 守備側のハイプレス強化、攻撃側の意図的なロングボールの増加 |
| 交代10秒ルール | 交代選手の入場が再開後1分間(次のプレー停止まで)遅延 | ベンチの事前準備の必須化、ピッチ中央の選手の交代リスク増大 |
| 負傷者1分間退場 | 治療を受けた選手は再開後1分間ピッチ復帰不可 | 戦術的シミュレーションの激減、一時的な数的不利の頻発 |
| VAR介入拡大 | 明らかな誤審による2枚目の警告(退場)の取り消し | 誤審による理不尽な試合崩壊の防止、判定の納得感向上 |
※誤って与えられたコーナーキックのVAR確認(各大会が選べる任意制度)
「必須」と記載した項目は、IFABの2026-27競技規則として、世界中のすべてのリーグで原則として適用されます。
「任意制度」の項目は、リーグや大会ごとに採用するかどうかを決められます。
以下、それぞれのルールを詳しく解説します。
スローインとゴールキックの5秒カウント
すべてのスローインを5秒以内に行うわけではない
誤解されやすいのが、スローインとゴールキックの5秒ルールです。
このルールは、ボールがラインを割った瞬間から、無条件に5秒以内で再開しなければならない制度ではありません。
主審が「このチームは意図的に再開を遅らせている」と判断した場合に限り、笛を吹いて5秒間のカウントダウンを始める仕組みです。
カウントは目で見て分かる合図(ビジュアルカウントダウン)で行われます。
5秒を超えた場合のペナルティ
5秒のカウントが終了するまでに再開しなかった場合、次のように判定されます。
・スローインの場合:相手チームのスローインに変わる
・ゴールキックの場合:相手チームにコーナーキックが与えられる
・さらに再開を遅らせた場合:警告(イエローカード)の対象になる
特に注目すべきは、ゴールキックの場合です。
遅延の結果、相手にコーナーキックを与えてしまうため、大きな失点のリスクにつながります。
ゴールキーパーだけでなく、パスを受けるセンターバックやサイドバックも素早く配置につく必要があり、チーム全体で対応しなければなりません。
なぜこのルールが必要なのか
従来の試合では、リードしているチームがスローインやゴールキックをわざと遅らせ、時間を消費する行為が日常的に行われていました。
主審が「急いでください」と声をかけても、選手がボールを拾いに行くフリをしたり、キッカーを交代したりして、再開までに30秒以上かかることも珍しくありませんでした。
5秒カウントの導入により、意図的な遅延には明確なペナルティが課されるようになりました。
交代選手の10秒ルール
交代ボードが出たら10秒以内にピッチを出る
交代が主審に認められ、交代ボードが表示された選手は、原則として10秒以内にピッチを出なければなりません。
これまでの試合では、交代を告げられた選手がゆっくり歩き、拍手を受けながらピッチ全体を横断する場面がよく見られました。
その間、試合は止まり続けます。特に試合終盤でリードしている場合、交代のたびに1分近くかかるケースもありました。
10秒を超えた場合のペナルティ
選手が10秒を超えてピッチに残った場合でも、交代そのものが取り消されるわけではありません。
ただし、代わりに入る交代選手は、すぐにピッチへ入ることができなくなります。
具体的には、プレーが再開されてからランニングタイムで1分が経過し、その後に最初にプレーが止まったタイミングまで、ピッチの外で待たなければなりません。
つまり、チームは一時的に10人で戦うことになります。
ベンチの準備がこれまで以上に重要になる
このルールの導入により、ベンチは交代を決めた段階で、対象選手へ早めに伝える必要があります。
選手が交代を知らず、ピッチの中央付近にいた場合、10秒以内にタッチラインまで到達できない可能性があるためです。
交代の準備を怠ると、数的不利という大きな代償を払うことになります。
治療を受けた負傷者の原則1分間退場
治療後はすぐにピッチへ戻れない
負傷によって試合が止まり、ピッチ内で治療や負傷の確認を受けた選手は、フィールドの外へ出なければなりません。
さらに、プレーが再開されてから原則1分間はピッチへ戻ることができません。
1分間はランニングタイムで計測されます。ボールがラインを割っている時間は含まず、実際に試合が動いている時間だけが基準になります。
1分間退場の例外
本当に負傷した選手が不利益を受けないように、以下のケースには例外が設けられています。
軽い接触で倒れ続ける行為が減る可能性がある
新ルールには、負傷を装った時間稼ぎを減らす目的があります。
ピッチ内で治療を受けると、再開後1分間はチームが数的不利の状態で戦うことになるためです。
軽い接触で長時間倒れ続けると、自分のチームに不利益をもたらします。
選手は「本当に治療が必要なのか」「すぐに立ち上がってプレーを続けられるのか」を、これまで以上に慎重に判断するようになるでしょう。
2枚目のイエローカードへのVAR介入
従来のVARでは確認できなかった場面
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)は、映像を使って判定を確認するシステムです。
従来のVARは、一発退場にあたるレッドカード(ストレートレッド)を確認できました。
しかし、2枚目のイエローカードによる退場は、原則としてVARの確認対象外でした。
1枚目のイエローカードをすでに持っている選手に対して、主審が2枚目のイエローカードを提示した場合、その判定が明らかに間違っていても、VARは介入できませんでした。
2026-27規則での変更点
2026-27競技規則では、明らかに間違った2枚目のイエローカードによって選手が退場になった場合に限り、VARが介入できるようになりました。
VARが介入できるのは、以下のようなケースです。
・接触がないのに反則と判定された
・ボールへ正当にプレーしていた
・別の選手の反則を誤認した
・警告に値する行為がなかった
すべてのイエローカードをVARで確認するわけではない
注意したいのは、実際に2枚目の警告が出されて退場になった場合だけが対象になる点です。
主審が2枚目のイエローカードを出さなかった場面について、VARが映像から反則を探し出し、新たに警告を追加する制度ではありません。
また、1枚目のイエローカードについては、引き続きVARの確認対象外です。
介入対象が限定されているため、試合が頻繁に止まる可能性は抑えられています。
人違いによる警告や退場も訂正しやすくなる
2026-27競技規則では、カードを受けた選手と実際に反則を行った選手が異なる場合にも、VARが介入できます。
従来は、同じチーム内で背番号を間違えたケースが中心でした。
新しい規則では、反則を行ったのが相手チームの選手だった場合を含め、カードの対象者を明らかに間違えた場面をVARが確認できます。
誤ったコーナーキックのVAR確認は任意制度
2026-27競技規則では、明らかに間違って与えられたコーナーキックについて、VARが訂正できる選択肢も追加されました。
たとえば、守備側の選手ではなく攻撃側の選手が最後にボールに触れていたにもかかわらず、コーナーキックが与えられた場合です。
ただし、訂正できる条件は次のように厳しく限定されています。
・明らかに間違ってコーナーキックが与えられた
・VARがすぐに判断できる
・試合再開を遅らせない
・コーナーキックがまだ行われていない
すぐにコーナーキックが行われた場合は、判定を変更できません。
この制度は、IFABがすべてのリーグに導入を義務付けたものではなく、各競技会が採用するかどうかを選べる任意制度です。
Jリーグの2026-27シーズンで採用される新ルール
適用開始日
JFA(日本サッカー協会)は、2026-27競技規則を以下の日程から適用すると発表しています。
・J1リーグ:2026年8月7日(第1節)から
・J2・J3リーグ:2026年8月8日(第1節)から
・ルヴァンカップ:2026年9月のラウンド開始から
Jリーグは2026-27シーズンから秋春制に移行するため、8月のシーズン開幕に合わせて新規則が適用されます。
Jリーグでの適用一覧
Jリーグで適用される主な変更は以下のとおりです。
Jリーグは任意制度も複数採用
検索結果によると、Jリーグでは、IFABが各競技会の判断に委ねた任意制度についても、以下の3項目を採用することが決まっています。
口を覆う行為の禁止は、人種差別をはじめとするあらゆる差別を根絶し、フェアプレーを徹底するための措置です。
プレミアリーグやブンデスリーガがこれらの任意制度を採用しない方針を示したのに対し、Jリーグは積極的に導入した形になります。
ヨーロッパ主要リーグの2026-27シーズン採用状況
IFABの競技規則は、原則としてすべての大陸、国、地域で共通して適用されます。リーグが独自にルールを変更することはできません。
2026-27シーズンに開幕する欧州主要リーグでも、必須の競技規則変更(5秒カウント、交代の10秒、負傷者の1分間退場、2枚目の警告へのVAR介入)は適用対象になります。
一方、任意制度への対応はリーグごとに異なります。
プレミアリーグ
プレミアリーグは、2026-27シーズンから以下の必須変更を導入すると正式に発表しています。
・負傷者の原則1分間退場
・スローインとゴールキックの5秒カウント
・交代選手の10秒ルール
・明らかに誤った2枚目の警告へのVAR介入
一方、IFABが認めた任意項目については採用しない方針を示しました。
誤って与えられたコーナーキックへのVAR介入は不採用です。口を覆う行為に対する自動的な退場や、審判への抗議でピッチを離れた選手への退場処分も導入されません。
ブンデスリーガ
ブンデスリーガとブンデスリーガ2部でも、2026-27シーズンから主な新ルールが導入されます。
ブンデスリーガ公式サイトは、5秒カウント、交代の10秒、負傷者の1分間退場、2枚目の警告へのVAR介入を紹介しています。
ドイツでは、プレミアリーグと同様に、IFABが認めた任意項目を採用しないことが決まりました。
採用されない制度は以下のとおりです。
・コーナーキック判定へのVAR介入
・審判への抗議でピッチを離れた選手への自動的な退場
・対立時に口元を覆った行為への自動的な退場
ラ・リーガ、セリエA、リーグ・アン
スペイン、イタリア、フランスの国内リーグも、IFABの2026-27競技規則に基づいて行われます。
競技規則の必須変更は適用対象です。
ただし、誤って与えられたコーナーキックへのVAR介入については、プレミアリーグやブンデスリーガのような明確なリーグ公式発表を、2026年7月31日時点では確認できていません。
必須ルールの適用と、任意のVAR制度の採用は分けて考える必要があります。
UEFAチャンピオンズリーグなど
UEFAチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、カンファレンスリーグも、IFABの競技規則に基づいて行われます。
2026-27シーズンでは、以下の変更が適用対象になります。
・スローインとゴールキックの5秒カウント
・交代選手の10秒ルール
・負傷者の1分間退場
・明らかに誤った2枚目の警告へのVAR介入
・人違いによる警告や退場の訂正
VARを使用していない試合では、VARに関する変更は運用できません。
誤ったコーナーキックへの介入は任意制度であり、UEFAがすべての対象大会で採用するという明確な発表は2026年7月31日時点で確認できていません。
リーグ別の対応を一覧で比較
各リーグの対応を一覧にすると、以下のとおりです。
| リーグ・大会 | 必須ルールの適用 | コーナーキックのVAR介入 (任意) | 口を覆う行為・抗議離脱の退場 (任意) | 独自のトライアル・追加措置 |
|---|---|---|---|---|
| Jリーグ | 適用 | 採用 | 採用 | なし |
| プレミアリーグ | 適用 | 不採用 | 不採用 | GK負傷時のFP1分間退場 |
| ブンデスリーガ | 適用 | 不採用 | 不採用 | なし |
| ラ・リーガ | 適用 | 明示的な採用発表なし | 明示的な採用発表なし | なし |
| セリエA | 適用 | 明示的な採用発表なし | 明示的な採用発表なし | なし |
| UEFA大会 | 適用 | 明示的な採用発表なし | 明示的な採用発表なし | 2024年よりキャプテンのみ厳格化 |
「明確な採用発表を確認できず」とは、不採用が決定したという意味ではありません。2026年7月31日時点で、リーグが任意制度の採用を公式に明示していないという意味です。
ワールドカップで使用されたがリーグ戦への導入が決まっていないシステム
2026年ワールドカップでは、競技規則の変更だけでなく、大会専用の新技術も複数使われました。
これらは各国リーグに一律で導入されるとは決まっていません。
高度な半自動オフサイド技術
2026年ワールドカップでは、高度な半自動オフサイド技術(Advanced Semi-Automated Offside Technology)が使用されました。
明確なポジショナルオフサイドの情報を、ピッチ上の審判員へ直接送る仕組みです。副審が従来よりも早く旗を上げられるようになり、判定のスピードが大幅に向上しました。
2022年カタール大会でも半自動オフサイド技術は使用されていましたが、そのときは情報がVAR室へ送られていました。
2026年大会の高度版では、明確なオフサイドについてピッチ上の審判員へ直接情報を伝えられる点が進化しています。
ただし、このワールドカップ仕様の高度版が、Jリーグや欧州主要リーグで一律採用されるとは決まっていません。
すでに半自動オフサイド技術を導入しているリーグもありますが、ワールドカップと完全に同じシステムとは限りません。
選手の3Dアバター
2026年ワールドカップでは、参加選手を3Dスキャンし、一人ひとりの体形を反映したデジタルアバターが作成されました。
アバターは半自動オフサイド判定の精度向上や、視聴者向けの3Dリプレーに使用されています。
3Dスキャンによって、肩や腕の位置をより正確に特定できるため、オフサイドラインの判定精度が高まります。
現時点では、通常の国内リーグで全選手を同じ方法でスキャンし、共通運用するという発表はありません。
レフェリーカメラ
主審が頭部に小型カメラを装着し、審判員の視点から映像を撮影するシステムも使われました。
映像は主にテレビ中継や試合後の映像に利用されます。視聴者が審判の視野や判断の難しさを理解しやすくなる点が特徴です。
IFABの2026-27競技規則では、審判員にボディカメラを装着させることを各競技会が選べるオプションとして認めています。
しかし、2026-27シーズンの主要リーグ全試合で使用されるという状況ではありません。
FIFA AI Pro
FIFA AI Proは、公式の試合データ、映像、トラッキングデータなどを利用する試合分析支援システムです。
2026年ワールドカップでは、資金力や分析スタッフの人数にかかわらず、参加した48代表チームが同じ分析環境を使えるように提供されました。
試合前後の分析に使うシステムであり、試合中にリアルタイムで監督へ指示を出すものではありません。
各クラブが独自の分析ツールを使う可能性はありますが、国内リーグ全体でFIFA AI Proを共通導入するという発表は確認できていません。
ハイドレーションブレイクはワールドカップ限定なのか
ハイドレーションブレイク自体はワールドカップ限定ではない
結論から述べると、ハイドレーションブレイク(水分補給のための中断)自体は、ワールドカップ限定の制度ではありません。
IFABの競技規則では、競技会規定によって、水分補給や身体を冷やすための中断を設けることが認められています。
Jリーグや欧州各国リーグでも、気温や湿度の条件に応じて実施できます。
ドリンクスブレイクとクーリングブレイクの違い
競技規則上、水分補給のための中断には2種類があります。
いずれの場合も、中断によって失われた時間はアディショナルタイムに加えられます。
ワールドカップ独自なのは全試合一律の運用方式
2026年ワールドカップでは、全試合で前後半それぞれ3分間のハイドレーションブレイクが実施されました。
具体的な運用は以下のとおりです。
・前半22分ごろに3分間
・後半67分ごろに3分間
・気温に関係なく実施
・スタジアムの屋根の有無に関係なく実施
・開催都市に関係なく実施
・すべての試合、すべてのチームに同じ条件で実施
ワールドカップ限定なのは、ハイドレーションブレイクそのものではありません。
気温や湿度に関係なく、全試合で前後半3分ずつ実施する統一方式が、2026年ワールドカップ独自の大会運用です。
UEFA大会では主に高温時に実施する
UEFA大会では、ワールドカップのように全試合で自動的にハイドレーションブレイクを設けるわけではありません。
高温が予想される場合、UEFAのマッチデリゲートなどがウォーミングアップ終了時に気温を測定します。
シニア大会での基準は、原則として以下のとおりです。
基準を超えると、クーリングブレイクが実施されます。基準以下でも、状況に応じて主審がドリンクスブレイクを認めることがあります。
Jリーグや欧州国内リーグでも実施できる
Jリーグや欧州国内リーグでも、競技会規定や主審の判断により、ドリンクスブレイクやクーリングブレイクを実施できます。
判断に使われる主な条件は以下のとおりです。
・気温
・湿度
・WBGT(暑さ指数)
・直射日光
・試合時間帯
・スタジアムの環境
・選手の安全性
通常のリーグ戦では、冬季や気温が低い試合まで一律に給水時間を設けるわけではありません。
2026年ワールドカップの方式をそのまま採用するという発表も、欧州主要リーグやJリーグからは確認できていません。
なお、Jリーグでは従来どおりの基準に基づく飲水タイムとクーリングブレイクの運用が行われます。
ゴールキーパーの8秒ルールは2026-27シーズンの新ルールではない
ゴールキーパーが手や腕でボールを8秒を超えて保持した場合、相手チームにコーナーキックを与えるルールも、2026年ワールドカップで使用されました。
しかし、このルールは2025-26競技規則で導入されたものです。2026-27シーズンから初めて採用される新ルールではなく、前シーズンから引き続き使用されています。
従来の競技規則では、ゴールキーパーのボール保持時間は6秒とされていました。しかし、実際の運用では6秒を厳密に適用することは少なく、主審の裁量に委ねられていました。
2025-26規則で制限時間が8秒に変更されると同時に、違反時のペナルティとして相手にコーナーキックが与えられるようになり、ルールの実効性が高まりました。
2026-27シーズンの変更では、時間稼ぎを減らす考え方が、ゴールキーパーのボール保持だけでなく、スローインやゴールキックにも広げられた形です。
「キャプテンのみ」プロトコルの義務化
2026-27競技規則では、主審への抗議をキャプテンに限定する「Only the Captain(キャプテンのみ)」プロトコルが、すべての競技会で義務化されました。
この制度は、2024年のEURO(欧州選手権)やその後のシーズンで試験的に運用されてきたものです。
具体的には、審判の判定に対して直接意見を述べることができるのは、各チームのキャプテンに限られます。
キャプテン以外の選手が主審に詰め寄ったり、判定に対して激しく抗議したりする行為を抑制する目的があります。
この制度は任意ではなく必須のプロトコルとして導入されるため、Jリーグを含むすべてのリーグで適用されます。
新ルールによって試合はどう変わるのか
新ルールによって最も大きく変わるのは、試合終盤の時間の使い方です。
これまでのように、リードしているチームがスローイン、ゴールキック、交代、負傷を利用して時間を使うことが難しくなります。
試合のテンポが上がる
5秒カウント、10秒ルール、1分間退場の3つが組み合わさることで、ボールが止まっている時間が減ります。
FIFAはこれらの変更の目的を「アクチュアルプレーイングタイム(実際にボールが動いている時間)の増加」と説明しています。
試合全体のテンポが上がり、観客にとってもより見応えのある試合が増えることが期待されます。
戦術面への影響
新ルールは、チームの戦術にも影響を与えます。
ゴールキックの遅延が許されなくなるため、ゴールキーパーからのビルドアップは素早い判断が求められます。
交代の準備を事前に整える必要があるため、ベンチワークの重要性が増します。
負傷を装った時間稼ぎが困難になるため、試合終盤のリード守備戦術にも変化が生じるでしょう。
退場に直結する誤審を減らせる
2枚目のイエローカードによる退場は、その後の試合展開を大きく変えます。
明らかに間違った警告をVARで訂正できれば、誤審による数的不利を防げます。
一方で、すべてのイエローカードをVARで確認するわけではないため、試合が頻繁に中断する心配は抑えられています。
よくある質問(FAQ)
Q. スローインは必ず5秒以内に行わなければなりませんか?
いいえ、すべてのスローインに5秒制限がかかるわけではありません。主審が「意図的に遅延している」と判断した場合にのみ、5秒のカウントダウンが始まります。通常のテンポでスローインを行っている限り、カウントは発動しません。
Q. ハイドレーションブレイクはJリーグでも全試合で行われますか?
いいえ、2026年ワールドカップのように気温に関係なく全試合で一律実施する方式は、ワールドカップ独自の大会運用です。Jリーグでは従来の基準(気温・湿度・WBGTなど)に基づいて、飲水タイムやクーリングブレイクを実施するかどうかが判断されます。
Q. ゴールキーパーの8秒ルールは2026-27シーズンの新ルールですか?
いいえ、ゴールキーパーのボール保持時間を8秒に制限するルールは、2025-26競技規則で導入されたものです。2026-27シーズンから新たに始まるルールではなく、前シーズンから継続して適用されています。
Q. 2枚目のイエローカードが出たら毎回VARで確認されますか?
いいえ、すべての2枚目のイエローカードがVARで確認されるわけではありません。VARが介入できるのは、2枚目の警告が「明らかに間違っている」場合に限られます。また、VARが映像から新たに反則を探して警告を追加する制度ではありません。
Q. 半自動オフサイド技術はJリーグでも使われますか?
2026年ワールドカップで使用された高度な半自動オフサイド技術が、Jリーグで一律採用されるとは決まっていません。ワールドカップと同じ仕様のシステムが各国リーグに導入されるかどうかは、リーグごとの判断や技術的な整備状況によります。
まとめ
2026年ワールドカップで導入された新ルールのうち、2026-27シーズンのJリーグや欧州主要リーグで適用される主な変更は以下の4つです。
これらはIFABの2026-27競技規則として、世界中のリーグで原則として適用されます。
プレミアリーグとブンデスリーガは、必須の変更を採用する一方、誤って与えられたコーナーキックへのVAR介入をはじめとする任意項目を採用しないと発表しました。
Jリーグは必須の変更に加え、口を覆う行為の禁止、審判への抗議による退場、コーナーキックのVAR確認といった任意制度も採用しています。
ラ・リーガ、セリエA、リーグ・アン、UEFA大会では必須の競技規則が適用されますが、任意制度の対応は2026年7月31日時点で明確な発表が確認できていない大会もあります。
高度な半自動オフサイド技術、選手の3Dアバター、レフェリーカメラ、FIFA AI Proは、ワールドカップで使用されましたが、各国リーグへの一律導入は決まっていません。
ハイドレーションブレイク自体はワールドカップ限定ではありませんが、天候に関係なく全試合で前後半3分ずつ実施する方式は、2026年ワールドカップ独自の運用です。
新ルールの中心にあるのは、時間稼ぎを減らし、ボールが動いている時間を増やすという考え方です。2026-27シーズンは、交代、負傷対応、スローイン、ゴールキックの進め方が、これまで以上に試合結果へ影響するシーズンになるでしょう。
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