今週のCL第4節:首位固めのエリート、そして止まらないドラマと歴史的瞬間
2025-26シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)は、リーグフェーズの折り返し地点となる第4節(MD4)を11月4日から5日にかけて迎えました。今節は、エリートクラブがその実力を確固たるものにする「順当」な結果と、名門が苦しみ、新たな歴史が刻まれる「波乱」が同居する、非常に中身の濃い2日間となりました。
今週の総括を端的にまとめます。インテル、バイエルン・ミュンヘン、アーセナルといった強豪が、無傷の4連勝(勝ち点12)を達成しました。彼らは、新フォーマットにおける最大の恩恵である「トップ8」でのダイレクト16強入りへ大きく前進しています。
その一方で、マンチェスター・シティはハーランド選手の活躍で快勝し、リバプールはレアル・マドリードとの大一番を制しました。しかし、バルセロナはクラブ・ブルージュ相手に3失点する不安定な戦いを露呈し、ユベントスやアヤックスといった名門は、いまだトンネルの出口が見えない深刻な不振に陥っています。
今節のハイライトは、強豪の戦いだけではありません。キプロスのパフォスFCが、スペインのビジャレアルを1-0で破りました。これは、クラブの歴史上、初めてのCL本戦勝利であり、新フォーマットがもたらした多様性が輝いた瞬間でした。
なぜ第4節はこれほど白熱したのか?リーグ折り返しの「ふるい落とし」
今節がこれほど多くのドラマを生んだ背景には、新フォーマットの「厳しさ」があります。全8試合という短期決戦のリーグフェーズにおいて、この第4節は「折り返し地点」です。
ここでの勝ち点1、失点1が、天国と地獄を分ける分岐点になります。
- 天国(1位~8位): 決勝トーナメント(ラウンド16)へダイレクトに進出できます。
- プレーオフ(9位~24位): ラウンド16進出をかけ、2試合制のプレーオフを戦う必要があります。
- 地獄(25位~36位): ヨーロッパリーグ(EL)へ回る「安全網(セーフティネット)」は存在しません。25位以下は、欧州の舞台から完全に姿を消すことになります。
この「ふるい落とし」が始まったことで、各チームのプレッシャーは最高潮に達しています。
1. トップ8への最短距離:無敗組の「盤石さ」
プレーオフという余計な2試合を回避し、ダイレクトでラウンド16に進出できるトップ8の座は、全クラブが渇望するポジションです。今節、3つのクラブがその座をほぼ手中に収めました。
- インテル(4連勝): カイラト(カザフスタン)をホームに迎え、2-1で勝利しました。前半45分にエースのラウタロ・マルティネス選手が先制すると、同点に追いつかれた後の67分、カルロス・アウグスト選手の強烈なミドルシュートが決勝点となりました。
- バイエルン・ミュンヘン(4連勝): パリ・サンジェルマン(PSG)とのアウェイゲームという難関を1-2で制しました。ルイス・ディアス選手が開始早々の3分と32分に立て続けにゴールを決め、強敵相手に圧倒的な強さを見せつけています。
- アーセナル(4連勝): スラヴィア・プラハ(チェコ)に敵地で3-0の快勝を収めました 7。ミケル・メリーノ選手が2ゴール(46分、68分)の大活躍を見せました。特筆すべきは、アーセナルがこれで公式戦8試合連続のクリーンシート(無失点)を達成した点です。この鉄壁の守備が、勝ち点12を支えています。
この3チームは、残り4試合で大崩れしない限り、プレーオフをスキップできる可能性が非常に高くなりました。
2. 「安全網」なき脱落:25位以下の恐怖
対照的に、「25位のライン」がもたらす恐怖に直面している名門もいます。かつてのCLであれば、グループ3位でELに回る道が残されていました。しかし、新フォーマットでは25位以下は「完全敗退」を意味します。
- アヤックス(4連敗): ホームでガラタサライに0-3と完敗しました。これで4戦全敗、得失点差は-10という惨状です。オランダのクラブがCL開幕4連敗を喫するのは、史上3クラブ目という不名誉な記録になりました。
- ベンフィカ(4連敗): 同様に、レバークーゼンにホームで0-1と敗れました 11。アヤックスと共に勝ち点0で最下層に沈んでいます。
- ユベントス(4戦未勝利): スポルティングCPとホームで1-1で引き分け、いまだ勝利がありません 12。勝ち点はわずか「3」であり、25位以下からの脱出は困難を極めます。
アヤックスやユベントスのような名門が、ELに回ることすら許されず、1月(リーグフェーズ終了)を待たずに欧州のシーズンを終える可能性が、現実味を帯びてきています。
今週の主役たち:注目試合を徹底分析
今節の「理由」を象徴する、記憶に残る試合を深掘りします。ヒーローの誕生、歴史的敗北、そして息をのむ熱戦の裏側を分析しましょう。
アヤックス 0-3 ガラタサライ:アムステルダムに響いたオシムヘンのハットトリック
今節、最大のインパクトを残した選手は、間違いなくガラタサライのヴィクター・オシムヘン選手でしょう。
アムステルダムでの一戦は、後半に一気に動きました。
- 59分: スコアレスで迎えた中、レロイ・サネ選手の完璧なクロスに、オシムヘン選手がダイビングヘッドで合わせて先制します。
- 66分: アヤックスのユーリ・バース選手が痛恨のハンドを犯します。このPKをオシムヘン選手がゴール右隅に突き刺し、2点目を挙げました。
- 78分: 今度はアヤックスのジェラルド・ルダーズ選手がハンド。再びオシムヘン選手がPKを冷静に決め、ハットトリックを達成しました。
このハットトリックにより、オシムヘン選手は今大会の通算ゴール数を「6」に伸ばしました。これは、ハーランド選手、ケイン選手、エンバペ選手(各5ゴール)を抜き、CL得点ランキングの単独トップに立つものです。
さらに、アヤックスのホーム(ヨハン・クライフ・アレーナ)でCLハットトリックを達成したのは、クリスティアーノ・ロナウド選手(2012年)、ルーカス・モウラ選手(2019年)に次ぐ、史上3人目の偉業です。アヤックスの歴史的な敗北は、同時にオシムヘン選手の歴史的な一夜となりました。
マンチェスター・シティ 4-1 ドルトムント:怪物ハーランド、今季27ゴール目と「新記録」
マンチェスター・シティは、古巣ドルトムントをホームに迎え、その攻撃力を見せつけました。今季もゴールを量産するアーリング・ハーランド選手が注目されましたが、この日の主役はもう一人いました。
- 22分: フィル・フォーデン選手がペナルティエリア手前から見事なコントロールショットを突き刺し、シティが先制します。
- 29分: 直後にハーランド選手が追加点を挙げ、今季の公式戦ゴールを27に伸ばしました 19。
- 57分: 再びフォーデン選手が得点し、リードを3点に広げます。
72分にドルトムントが1点を返したものの、後半アディショナルタイムにはラヤン・チェルキ選手がダメ押しの4点目を決め、4-1で快勝しました。
ハーランド選手のゴール数は相変わらず驚異的ですが、このドルトムント戦の得点で、彼は新たな歴史を刻んでいます。ハーランド選手は、「3つの異なるクラブ(ザルツブルク、ドルトムント、シティ)で、それぞれCL5試合連続ゴールを達成した」史上初の選手となりました。クリスティアーノ・ロナウド選手でさえ達成できなかったこの記録は、彼の持続的な決定力を証明しています。
クラブ・ブルージュ 3-3 バルセロナ:ヤマル奮闘も、守備崩壊の壮絶な打ち合い
バルセロナは、ベルギーの地で壮絶な撃ち合いを演じました。「撃ち合いに追いつくのがやっと」という表現が、この試合を的確に表しています。バルセロナは3度リードされ、3度追いつくという、非常に不安定な内容でした。
めまぐるしい試合展開:
- 6分:ブルージュが先制 (1-0)
- 8分:バルセロナがフェラン・トーレス選手のゴールで、すぐに追いつきます (1-1)
- 17分:ブルージュが再びリード (2-1)
- 61分:バルセロナのラミン・ヤマル選手が素晴らしい個人技で同点弾 (2-2)
- 64分:ブルージュが3度目のリード (3-2)
- 77分:バルセロナが相手のオウンゴールで、3度目の同点に追いつきます (3-3)
この試合は、現在のバルセロナが抱える「喜び」と「不安」の二面性を象徴しています。
喜び(ラミン・ヤマル): 18歳のヤマル選手は、61分に圧巻の個人技でゴールを奪い、攻撃を牽引しました 25。彼の才能は本物であり、ファンが希望を託す光です。
不安(守備崩壊): しかし、守備は「破滅的」でした。ハンジ・フリック監督が採用するハイラインと欠陥のあるオフサイドトラップが、ブルージュの高速カウンター(特に2得点のフォルブス選手)に徹底的に突かれ、3失点を喫しました。
バルセロナのファンにとって、ヤマルの活躍に歓喜しながらも、これほど簡単に失点する守備では欧州の頂点は狙えないという、もどかしさと不安が募る90分間でした。
リバプール 1-0 レアル・マドリード:熱戦を制したマク・アリスターの決勝ヘッド
アンフィールドでのビッグマッチは、戦術的な緊張感に包まれた熱戦となりました。
試合はリバプールが優勢に進めましたが、レアル・マドリードの守護神ティボー・クルトワ選手が立ちはだかります。彼は、ドミニク・ソボスライ選手の決定的なシュートを含む、少なくとも5回のファインセーブを見せ、ゴールを割りません。
0-0で迎えた61分(後半15分)、ついに均衡が破れます。ソボスライ選手が蹴った正確なフリーキックに、アレクシス・マク・アリスター選手が頭で合わせ、クルトワ選手の牙城を破りました 32。
この1点は非常に重く、レアル・マドリードに今季CL初黒星をつけました。この結果、両クラブは勝ち点9で並び、トップ8の座を巡る直接対決をリバプールが制した、非常に大きな勝利です。
ユベントス 1-1 スポルティング:またも勝利なし、スパレッティ監督の苦悩
トリノでの一戦は、ユベントスの苦境をさらに浮き彫りにしました。34分にドゥシャン・ヴラホヴィッチ選手のゴールで同点に追いつきましたが、それが精一杯でした。
これでCL開幕4試合で勝ち星がありません(勝ち点3)。ユベントスがCL開幕4試合で未勝利だったのは、1998-99シーズン、2013-14シーズンに次ぐ、クラブ史上3度目の不名誉な事態です。
新監督のルチアーノ・スパレッティ氏は、試合後にこうコメントしています。「勝利だけが重要なんじゃない。勝利のために戦う姿勢が重要だ」。
これは単なる精神論ではありません。セリエAでも6位と苦しみ、CLでは25位以下の「完全敗退」の危機に瀕するチームに向けた、自信を取り戻させるための必死のメッセージです。チームは「スキルもパーソナリティも良いグループだ」と擁護しつつ、何とか士気を保とうとしています。
今週の「ハイライト・モーメント」:歴史的初勝利と年間ベストゴール候補
今節は、ビッグクラブ以外のチームも素晴らしい輝きを放ちました。
- パフォスFC(キプロス) 1-0 ビジャレアル(スペイン):今節最大のサプライズであり、最も心温まる結果です。キプロスのパフォスFCが、スペインの強豪ビジャレアルを1-0で下しました。これは単なる1勝ではありません。2025-26シーズンは、パフォスFCにとってクラブ史上初のCL出場シーズンです 3。彼らは予選3ラウンドでマッカビ・テルアビブ、ディナモ・キエフ、レッドスター・ベオグラードといった強豪を破り、このリーグフェーズに到達しました 3。そして迎えたMD4、ついにCL本戦での歴史的初勝利を掴み取ったのです。
- トッテナム 4-0 コペンハーゲン:トッテナムが4-0で快勝したこの試合で、年間ベストゴール候補が生まれました。64分、センターバックのミッキー・ファン・デ・フェン選手が、自陣のペナルティエリア端でボールを奪います。そこから彼は、ピッチの端から端まで、数人の相手選手を置き去りにして爆発的なスプリントを敢行。そのまま相手エリアまで侵入し、冷静にネットを揺らしました。このゴールは「プスカシュ賞候補」と絶賛される、圧巻のスーパーゴールでした。
【一覧表】全試合結果と注目トピック(2025年11月4日~5日)
今節の全試合結果と、リサーチに基づいた詳細なトピックを一覧表にまとめます。
| 日付 | 対戦カード | スコア | トピック(詳細版) |
| 11月4日 | トッテナム vs コペンハーゲン | 4-0 | ファン・デ・フェンの「プスカシュ級」独走ゴール(64分)などで圧勝しました。 |
| 11月4日 | リバプール vs レアル・マドリード | 1-0 | マク・アリスター(61分)がソボスライ選手のFKから決勝ヘッド。レアル・マドリードは今季CL初黒星です。 |
| 11月4日 | PSG vs バイエルン・ミュンヘン | 1-2 | バイエルンがルイス・ディアス選手の2発(3分, 32分)でパリを撃破し、無傷の4連勝を飾りました。 |
| 11月4日 | アトレティコ・マドリード vs サン=ジロワーズ | 3-1 | アルバレス選手(39分)、ギャラガー選手(72分)、ジョレンテ選手(90+6分)のゴールで勝利しました。 |
| 11月4日 | ユベントス vs スポルティングCP | 1-1 | ヴラホヴィッチ選手(34分)が追いつくも、またも勝ち切れず。CL開幕4戦未勝利です。 |
| 11月5日 | アヤックス vs ガラタサライ | 0-3 | オシムヘン選手が歴史的ハットトリック(59分, 66分PK, 78分PK)。アヤックスは泥沼の4連敗です。 |
| 11月5日 | ベンフィカ vs レバークーゼン | 0-1 | ベンフィカも4連敗。アヤックスと共に勝ち点0で最下層に沈んでいます。 |
| 11月5日 | クラブ・ブルージュ vs バルセロナ | 3-3 | ヤマル選手の個人技弾(61分)などで3度追いつくも、守備が崩壊し激しいドローとなりました。 |
| 11月5日 | インテル vs カイラト・アルマティ | 2-1 | ラウタロ選手(45分)、アウグスト選手(67分)の得点で勝利し、4連勝で首位を堅持しました。 |
| 11月5日 | マンチェスター・シティ vs ドルトムント | 4-1 | フォーデン選手が2発、ハーランド選手が1発(29分)。ハーランド選手はCL新記録を樹立しました。 |
| 11月5日 | マルセイユ vs アタランタ | 0-1 | アタランタが90分のサマルジッチ選手の劇的決勝弾で勝利を収めました。 |
| 11月5日 | ニューカッスル vs アスレティック・ビルバオ | 2-0 | バーン選手(11分)のスーパーヘッドとジョエリントン選手(49分)のゴールで快勝。CL3連勝です。 |
| 11月5日 | パフォスFC vs ビジャレアル | 1-0 | キプロスの雄、パフォスFCがCL史上初の歴史的勝利を飾りました。 |
| 11月5日 | カラバフ vs チェルシー | 2-2 | チェルシーがアゼルバイジャンで苦戦。ガルナチョ選手(52分)が追いつくもドローに終わりました。 |
【総括】リーグフェーズ後半戦へ:順位表から見る次の焦点
第4節を終え、全36チームの順位表は、明確な「3つの集団」に分かれました。残り4試合、各チームの目的ははっきりしました。
1. 「トップ8」を死守するエリートたち(1位~8位)
該当チーム: 1位バイエルン(12pt)、2位アーセナル(12pt)、3位インテル(12pt)、4位マン・シティ(10pt)、5位PSG(9pt)、6位ニューカッスル(9pt)、7位レアル・マドリード(9pt)、8位リバプール(9pt)
4連勝の3チーム(バイエルン、アーセナル、インテル)は、ほぼダイレクトでのラウンド16進出が確実です。
後半戦の最大の激戦区は、「8位の境界線」です。6位ニューカッスル、7位レアル・マドリード、8位リバプールは勝ち点9でひしめき合っています。そして、プレーオフ圏の首位である9位ガラタサライも勝ち点9です。このトップ8の座を死守する戦いは、最終節までもつれるでしょう。
2. 生き残りをかけた「プレーオフ圏内」の混戦(9位~24位)
該当チーム: 9位ガラタサライ(9pt)、10位トッテナム(8pt)、11位バルセロナ(7pt)、12位チェルシー(7pt)、13位スポルティングCP(7pt)、15位カラバフ(7pt)など
この集団の目標は、まず「24位以内」を死守して敗退を免れることです。その上で、プレーオフ(9位~16位 vs 17位~24位)でシード側となる「9位~16位」に入ることが求められます。
バルセロナやチェルシーのような名門が、この「プレーオフ圏」で苦戦している事実は、リーグフェーズの厳しさを物語っています。彼らにとって、トップ8はすでに遠く、まずは「生き残る」ことが最優先されます。
3. 崖っぷちのチーム(25位以下)の「絶望」と「残り4試合」
該当チーム: ユベントス(3pt)、クラブ・ブルージュ(4pt)、アヤックス(0pt)、ベンフィカ(0pt)など
アヤックスとベンフィカの4連敗は、もはや奇跡でも起こらない限り「25位以下での完全敗退」が濃厚です。
ユベントス(勝ち点3)は、まだ数学的には可能性がありますが、順位を上げるには残り4試合で奇跡的な巻き返しが必要です。スパレッティ監督の言葉通り、彼らは「勝利のために戦う姿勢」を次節のボデ・グリムト戦で示せるのでしょうか。
次節は11月25日~26日に予定されています。各チームの運命を左右する戦いから、ますます目が離せません。
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