UEFAヨーロッパリーグ 2025-26シーズン 第5節 徹底分析レポート:欧州の勢力図と各クラブの戦術的明暗
1. 第5節が持つ戦略的意味と欧州フットボールの現在地
今週行われたUEFAヨーロッパリーグ(UEL)第5節は、大会のリーグフェーズにおける極めて重要な分岐点となりました。全8試合で行われるリーグフェーズの折り返し地点を過ぎたこのタイミングでの試合結果は、決勝トーナメント進出に向けた「トップ8(ストレートイン)」と「プレーオフ圏(9位〜24位)」、そして「敗退圏」の境界線をより鮮明に描き出します。今節は、圧倒的な攻撃力を見せつけたチームが存在する一方で、数的不利や主力の欠場といった逆境を跳ね返したチーム、あるいは優位な状況を生かせずに勝ち点を落としたチームなど、各クラブの明暗がくっきりと分かれました。
本レポートでは、提供された膨大なデータと試合結果に基づき、主要6試合の戦術的詳細、選手個人のパフォーマンス、そして今後の展望について、専門的な視点から徹底的に分析を行います。リヨンの爆発的な攻撃力、ノッティンガム・フォレストのプレミアリーグ仕込みの強度、ローマの苦しみと解放、そしてスコットランド勢の対照的な結果について、数字と文脈を交えて深く掘り下げていきます。
今節の主要トピックス
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リヨンの圧倒的火力: マッカビ・テルアビブを6-0で粉砕し、得失点差と勝ち点の両面で首位戦線の優位性を確立しました。
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プレミア勢の充実: ノッティンガム・フォレストとアストン・ヴィラは、それぞれ異なる展開ながらも勝利を収め、イングランド・フットボールの強さを証明しています。
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セルティックの歴史的勝利: 敵地フェイエノールトでの逆転劇は、マーティン・オニール暫定監督の花道を飾るにふさわしいドラマチックな展開となりました。
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ローマの安堵: 苦しみながらもホーム初勝利を挙げ、全勝中だったミッティランの勢いを止めました 7。
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レンジャーズの停滞: 数的優位を生かせず、ホームで痛恨のドローに終わったことで、サポーターのフラストレーションが高まっています。
2. オリンピック・リヨン:破壊的な攻撃力とコレンタン・トリソの復活
フランスの雄、オリンピック・リヨンは、今節で最も衝撃的なパフォーマンスを披露しました。彼らは敵地セルビア(マッカビ・テルアビブのホーム扱い)で6-0というスコアを記録し、大会の優勝候補としての地位を強固なものにしました。
2.1 試合詳細と戦術的勝因
| 項目 | 詳細データ |
| 対戦カード | リヨン vs マッカビ・テルアビブ |
| 会場 | TSCアリーナ(セルビア) |
| スコア | 6 – 0 |
| 得点者 | アブネル・ヴィニシウス (4′), コレンタン・トリソ (25′, 55′, 70′), ムサ・ニアカテ (35′ PK), アダム・カラベツ (63′) |
| マン・オブ・ザ・マッチ |
コレンタン・トリソ |
2.1.1 序盤からの圧倒とサイド攻撃の機能
リヨンは試合開始直後から主導権を握りました。特に左サイドバックとして出場したアブネル・ヴィニシウスの攻撃参加が光ります。彼は前半4分、クロスボールに対してファーサイドで合わせ、チームに貴重な先制点をもたらしました。さらに彼は、その後の展開でも攻撃の起点となり、チャンスメーカーとフィニッシャーの両方の役割を完遂しました。リヨンのサイド攻撃は、相手守備陣を広げ、中央にスペースを作る上で決定的な役割を果たしました。
2.1.2 コレンタン・トリソのハットトリックとリーダーシップ
この試合の最大のハイライトは、キャプテンであるコレンタン・トリソのパフォーマンスにあります。彼は中盤の選手でありながら、絶妙なタイミングでボックス内に侵入する「レイトラン」を繰り返し、相手守備陣を混乱に陥れました。
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2点目(25分): クロスに対してファーサイドでヘディングシュートを決め、リードを広げました。
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後半の追加点: 後半に入っても攻撃の手を緩めず、至近距離からのシュートを一度は防がれながらも、こぼれ球を押し込んでハットトリックを達成しました。これは彼のプロキャリア初のハットトリックとなりました。
トリソの活躍は単なる得点力だけでなく、チーム全体を前へと推進させる精神的な支柱としての役割も果たしています。彼の評価点は「9」と極めて高く、ワールドカップ優勝メンバーとしての貫禄を見せつけました。
2.1.3 相手の自滅と徹底的な攻撃姿勢
マッカビ・テルアビブは、サギブ・イェヘズケルが退場処分を受けたことで完全に崩壊しました。しかし、リヨンが称賛されるべき理由は、相手が10人になった後も手を緩めず、得失点差を稼ぐために攻撃を続けた点にあります。途中出場のアダム・カラベツも得点を決め、選手層の厚さを証明しました。この勝利により、リヨンは勝ち点を12に伸ばし、グループ首位に浮上しました。彼らにとって決勝トーナメント進出はほぼ手中に収めたと言えます。
3. ノッティンガム・フォレスト:要塞「シティ・グラウンド」での完勝
プレミアリーグで好調を維持するノッティンガム・フォレストは、スウェーデンの強豪マルメをホームに迎え、危なげない試合運びで3-0の勝利を収めました。ショーン・ダイチ監督のマネジメントが光る一戦となりました。
3.1 試合詳細とスタッツ分析
| 項目 | 詳細データ |
| 対戦カード | ノッティンガム・フォレスト vs マルメ |
| 会場 | シティ・グラウンド |
| スコア | 3 – 0 |
| 得点者 | ライアン・イェーツ (27′), アルノー・カリムエンド (44′), ニコラ・ミレンコビッチ (58′) |
| xG (ゴール期待値) |
フォレスト:高水準 vs マルメ:0.06 |
3.1.1 大幅なターンオーバーの成功
ショーン・ダイチ監督は、直近のリヴァプール戦から先発メンバーを7人も変更するという大胆な策に出ました 2。これは過密日程を考慮したリスクマネジメントでしたが、結果としてチームの総合力を証明する形となりました。控え組を含めた選手たちが高いモチベーションを維持し、プレミアリーグのインテンシティを欧州の舞台でも発揮しました。
3.1.2 守備の堅牢性とマルメの沈黙
特筆すべきデータは、マルメのxG(ゴール期待値)がわずか「0.06」に抑え込まれたという事実です。
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マルメはフォレストのペナルティエリア内でボールに触れることすらほとんどできませんでした。
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フォレストはこれでUELにおいて3試合連続のクリーンシート(無失点)を達成しました。
ショーン・ダイチ監督の代名詞とも言える堅守速攻のスタイルが完全に機能しており、相手に「何もさせない」90分間を作り上げました。
3.1.3 セットプレーと新戦力の融合
攻撃面では、セットプレーの強さが際立ちました。
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先制点: ニコラ・ミレンコビッチのシュートブロックからこぼれたボールを、キャプテンのライアン・イェーツが冷静に流し込みました。
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追加点: 前半終了間際、新加入のアルノー・カリムエンドが移籍後初ゴールを記録しました。GKが弾いたボールに素早く反応したこのゴールは、チームに大きな精神的余裕をもたらしました 3。
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ダメ押し: 後半には再びセットプレーからミレンコビッチが得点を奪い、試合を決定づけました 13。
カラム・ハドソン=オドイもバー直撃のシュートを放つなど、攻撃陣は終始躍動しました。1979年のヨーロピアンカップ決勝の再現となったこのカードで、フォレストは歴史的な勝利を再び手にしました。
4. ASローマ:苦しみの中で掴んだホーム初勝利
イタリアの首都ローマでは、苦境に立たされていたチームが重要な勝利を手にしました。ここまで全勝のミッティランを相手に、ローマは粘り強い戦いで勝ち点3をもぎ取りました。
4.1 試合詳細とキーポイント
| 項目 | 詳細データ |
| 対戦カード | ASローマ vs ミッティラン |
| 会場 | スタディオ・オリンピコ |
| スコア | 2 – 1 |
| 得点者 | ニール・エル・アナウイ (7′), ステファン・エル・シャーラウィ (83′) |
4.1.1 電光石火の先制点とディバラの効果
ローマにとって、この試合は絶対に落とせない一戦でした。その決意は開始早々の7分に結実します。ゼキ・チェリクからのクロスに対し、ニール・エル・アナウイが鮮やかなボレーシュートを合わせ、ローマでの初ゴールを記録しました。
また、怪我から復帰したパウロ・ディバラが先発出場したことは、チームに大きな影響を与えました。彼の創造性とボール保持力は、攻撃のリズムを作る上で不可欠な要素でした。
4.1.2 ミッティランの猛追とエル・シャーラウィの仕事
ミッティランはここまで4戦全勝と絶好調でしたが、この日はローマの気迫に押される場面が目立ちました。しかし、彼らも簡単には引き下がらず、後半には何度かローマゴールを脅かしました。
試合の行方が分からなくなった後半83分、途中出場のステファン・エル・シャーラウィが値千金の追加点を奪いました。終了間際に1点を返されたものの、ローマはこのリードを守り切り、今大会ホームでの初勝利を挙げました。
4.1.3 勝利の意義
この勝利により、ローマはグループステージ突破への望みを繋ぎました。セリエAでの不振を払拭するきっかけとしても、この勝ち点3は非常に大きな意味を持ちます。ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督や選手たちにとっても、自信を取り戻す一戦となりました。
5. アストン・ヴィラ:ピッチ内外の騒動を乗り越えた勝利
アストン・ヴィラはホームのヴィラ・パークでヤング・ボーイズと対戦し、試合中断のトラブルに見舞われながらも勝利を収めました。
5.1 試合詳細とドニエル・マーレンの活躍
| 項目 | 詳細データ |
| 対戦カード | アストン・ヴィラ vs ヤング・ボーイズ |
| 会場 | ヴィラ・パーク |
| スコア | 2 – 1 |
| 得点者 | ドニエル・マーレン (27′, 42′) |
5.1.1 マーレンの決定力とスタッツの優位性
この試合の主役はドニエル・マーレンでした。
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先制点: 前半27分、ユーリ・ティーレマンスのクロスをヘディングで合わせ先制しました。
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追加点: 42分にはモーガン・ロジャースのアシストから2点目を奪い、試合の主導権を完全に握りました。
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スタッツ: アストン・ヴィラはシュート数19本(枠内8本)、xG 2.03を記録し、ヤング・ボーイズ(シュート6本、xG 0.31)を圧倒しました。
5.1.2 サポーターによる妨害と中断
試合中、ヤング・ボーイズのサポーターエリアから物が投げ込まれ、マーレンに直撃するという事態が発生しました。これにより試合は一時中断し、警察が介入する騒ぎとなりました。しかし、ヴィラの選手たちは冷静さを保ち、プレー再開後も集中力を切らしませんでした。
5.1.3 終盤の課題と勝ち点12の到達
後半、マーレンがハットトリックとなるゴールを決めましたが、これはオフサイドで取り消されました。終盤、ヤング・ボーイズに1点を返され、ウナイ・エメリ監督は「最後は自分たちで苦しくしてしまった」と振り返りましたが、結果的に勝ち点3を確保しました。これでヴィラは勝ち点を12に伸ばし、リヨンやミッティランと並んで上位争いを演じています。
6. セルティック:ロッテルダムでの歴史的逆転劇
セルティックは敵地フェイエノールト戦で、記憶に残る逆転勝利を収めました。これは暫定監督マーティン・オニールにとって、特別な意味を持つ試合となりました。
6.1 試合詳細と日本人の活躍
| 項目 | 詳細データ |
| 対戦カード | フェイエノールト vs セルティック |
| 会場 | スタディオン・フェイエノールト |
| スコア | 1 – 3 |
| 得点者 | 上田綺世 (11′), ヤン・ヒョンジュン (31′), レオ・ハタテ (39′), ベンジャミン・ニグレン (82′) |
6.1.1 苦しい立ち上がりからの反撃
試合は前半11分、フェイエノールトの上田綺世に先制ゴールを許す展開となりました 18。しかし、ここからセルティックの反撃が始まります。
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同点弾: 31分、ヤン・ヒョンジュンが同点ゴールを決め、試合を振り出しに戻しました 6。
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逆転弾: そのわずか8分後、レオ・ハタテ(旗手怜央)が前田大然のアシストから逆転ゴールを叩き込みました。ハタテはこの試合で高い評価(7.4)を受け、攻撃の中心として機能しました。
6.1.2 オニール監督の有終の美
後半、フェイエノールトの猛攻を受けましたが、セルティックは耐え凌ぎました。そして82分、途中出場のベンジャミン・ニグレンがバーを叩く強烈なシュートで3点目を奪い、勝負を決定づけました。
この勝利は、セルティックにとって2001年以来となるオランダでの勝利であり、暫定監督を務めるマーティン・オニールにとっては、次期監督ウィルフリード・ナンシーへのバトンを繋ぐ最高の形となりました。
6.1.3 スタッツに見る効率性
フェイエノールトはポゼッション(49% vs 51%)やシュート数(14本 vs 6本)でセルティックを上回っていましたが、枠内シュート数は4本同士と互角でした。セルティックがいかに少ないチャンスを確実にものにしたかが分かります。xG(ゴール期待値)ではフェイエノールトが1.83に対しセルティックは1.15でしたが、結果は1-3というスコアになり、セルティックの決定力が際立ちました。
7. レンジャーズ:アイブロックスでの失望
セルティックが歓喜に沸く一方で、同じグラスゴーを本拠地とするレンジャーズは、深い失望の中にいました。
7.1 試合詳細と痛恨のドロー
| 項目 | 詳細データ |
| 対戦カード | レンジャーズ vs ブラガ |
| 会場 | アイブロックス・スタジアム |
| スコア | 1 – 1 |
| 得点者 | ジェームズ・タヴァーニア (PK), ガブリ・マルティネス (ブラガ) |
7.1.1 優位な状況の喪失
レンジャーズはジェームズ・タヴァーニアのPKで先制し、さらにブラガに退場者が出たことで、勝利は確実と思われました。しかし、10人の相手に対して攻めあぐねると、後半69分に守備の連携ミスから同点ゴールを許してしまいます。
ガブリ・マルティネスに決められたこのゴールは、ブラガにとって数少ないチャンスでしたが、レンジャーズの守備陣、特にナセル・ジガのクリアミスが致命的でした。
7.1.2 ファンからのブーイングと現状
試合終了後、アイブロックスはブーイングに包まれました。サポーターは「10人の相手にホームで勝てない」という事実に激怒しており、SNS上でも厳しい批判が相次ぎました。
スタッツを見ても、レンジャーズは12本のシュートを放ちながらxGは1.63にとどまり、ブラガ(シュート数少ないがxG 1.7に近い脅威を与えた)に対して決定機を活かせませんでした。この勝ち点1は、グループステージ突破に向けてあまりにも痛い結果となりました。
8. 全体総括と今後の展望
第5節を終え、各クラブの立ち位置がより明確になりました。
8.1 順位表の動向
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首位グループ: リヨン、アストン・ヴィラ、ミッティランなどが勝ち点12で並び、トップ8入り(決勝トーナメント直行)へ大きく前進しました。
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中位グループ: ノッティンガム・フォレストやセルティックは勝ち点を積み上げ、プレーオフ圏内の順位を確保しつつあります。
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下位グループ: レンジャーズやマッカビ・テルアビブは苦しい状況が続いており、残り試合での全勝に近い成績が求められます。
8.2 ウィルフリード・ナンシー新体制への期待(セルティック)
セルティックは次節からウィルフリード・ナンシー新監督が指揮を執る予定です。コロンバス・クルーで実績を残した彼が、オニール監督が残した良い流れをどのように引き継ぎ、さらに進化させるかに注目が集まります。
8.3 総評
今週のUEFAヨーロッパリーグは、**「決定力」と「逆境への対応力」**が勝敗を分ける鍵となりました。リヨンやアストン・ヴィラのようにチャンスを確実に得点に結びつけたチームが上位に行き、レンジャーズのように優位性を手放したチームが苦しむ結果となりました。次節以降、決勝トーナメント進出をかけた争いはさらに激化することが予想されます。各クラブがどのように修正し、挑んでくるのか、欧州フットボールの熱気はますます高まっていきます。
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