日本代表 W杯予選 オーストラリア戦レビュー。これは価値ある敗戦なのか？

FIFAワールドカップ2026アジア最終予選、サッカー日本代表「サムライブルー」は、重要な一戦として注目されたオーストラリア代表とのアウェイゲームに臨んだ。日本はすでに本大会出場を決めているものの、チーム力の底上げと若手の経験蓄積というテーマも抱えたこの一戦は、多くのサッカーファンが固唾を飲んで見守る中、予想外の結末を迎えた。試合終了間際の失点による0-1での敗戦は、日本代表にとって今最終予選初の黒星となり、多くのサポーターに衝撃を与え、様々な議論を呼んでいる。

「ポゼッションは支配すれどもゴールは遠く…」この言葉が象徴するように、オーストラリアの堅守を最後まで崩せなかったサムライブルー。この一戦から見えた日本の現在地、そして未来への課題とは何か。試合内容を深く掘り下げ、徹底的にレビューする。

激闘の90分間：試合展開とスタッツ

試合の流れ

試合は序盤から日本がボールを支配し、オーストラリア陣内でプレーする時間が続いた。前半12分時点では、日本のボールポゼッションが84%に達するなど、一方的な展開も予想された。しかし、オーストラリアは5バック気味の守備ブロックを固め、日本の攻撃を中央で跳ね返し、決定的なチャンスをなかなか作らせない ³。日本は鈴木唯人選手や代表デビューの平河悠選手がミドルシュートを放つ場面もあったが、ゴールネットを揺らすには至らず、前半は0-0で終了した。この展開は、日本のポゼッションの高さが必ずしもチャンスの数に直結しないことを示しており、オーストラリアの守備戦術が効果的に機能していたことをうかがわせる。特に、中央を固める5バックのシステムは日本のコンビネーションプレーを封じ、外側でのパス回しに終始させる狙いがあったと考えられる。

後半に入っても、日本がボールを保持し、オーストラリアが守勢に回るという基本的な構図は変わらなかった。森保一監督は、膠着状態を打破すべく、久保建英選手や中村敬斗選手といった攻撃的なカードを次々と投入し、攻撃の活性化を図った。これにより一時的に日本の攻撃のギアが上がったものの、アタッキングサードでの質の向上が求められる状況は続き、オーストラリアの集中した守備を最後まで崩しきるには至らなかった。

そして、スコアレスドローの雰囲気が漂い始めた試合終了間際の90分、ドラマが待っていた。オーストラリアが右サイドを攻略し、ゴール前に送られたクロスにアジズ・ベヒッチ選手が走り込み、値千金の決勝ゴールを叩き込んだ。この失点により、日本はFIFAワールドカップ2026アジア最終予選で初の黒星を喫することとなった。多くのメディアで「ワンチャンスをものにされた」と報じられたように ⁴、試合巧者ぶりを見せつけたオーストラリアと、決定力不足に泣いた日本の対比が鮮明になった。オーストラリアはシュート数自体は少なかったものの（枠内シュートは決勝点の1本のみ ）、日本は多くのシュートを放ちながら枠内シュートは1本に終わり、その効率の差が勝敗を分けた形だ。

試合概要

この試合概要は、日本がボール支配率やシュート数で上回りながらも、枠内シュートの少なさ、そして最終的な得点力という点で課題を残したことを明確に示している。逆にオーストラリアは、少ないチャンスを確実にものにする決定力の高さを見せつけた。

サムライブルーの挑戦と苦悩：日本の戦術とパフォーマンス

森保監督の采配：若手主体メンバーの意図と結果

このオーストラリア戦で、森保一監督は大幅なメンバー変更を断行した。GK谷晃生選手、DF関根大輝選手、MF平河悠選手、俵積田晃太選手など、最終予選初先発や代表デビューとなる選手を多数スターティングラインナップに抜擢。MF佐野海舟選手も約1年5ヶ月ぶりの先発出場となった。

試合後、森保監督はこの大胆な選手起用の意図について、「将来に向けた戦力強化」と「選手の自立と成長の促進」を挙げ、「厳しいアウェイの戦いで選手たちが何ができるかを見たかった」と説明した ²。ワールドカップ本大会出場が決定している状況とはいえ、最終予選という真剣勝負の場で若手に経験を積ませたいという親心も垣間見える。しかし、この采配はチームの連携面でのリスクを伴うものであり、短期的な結果よりも長期的なチーム強化を優先したとも解釈できるが、最終予選での敗戦はFIFAランキングに基づくワールドカップ本大会のポット分けにも影響しうるため、そのバランスの取り方については議論の余地があるだろう。一部の専門家からは、ベストメンバーで臨むべきだったとの声も上がっている。

結果としてチームは0-1で敗戦。森保監督は試合後、「経験の部分で今日は足りなかった」、「負けた悔しさを持って、成長してもらえれば」と選手たちの今後に期待を寄せた。しかし、専門家の中には「テストは失敗だった」と厳しい評価を下す声も見られた。若手選手の起用自体は理解できるものの、ワールドカップ本大会で対戦する可能性のある強豪オーストラリアを相手に、経験の浅い選手中心で臨んだことで、チームとしての「現在の真の実力」を測る機会を逸した、あるいは16年ぶりのオーストラリア戦敗戦というネガティブなデータを残してしまったという側面は否定できない。

スターティングメンバーとフォーメーション

日本代表 (3-4-2-1)

この布陣は、多くのフレッシュな顔ぶれが並び、特に3バックシステムと両ウイングバックの機能性が注目された。一方のオーストラリアは、守備時には5枚のDFラインを形成し、中央を固める戦術を採用したことがうかがえる。

ボール支配と攻撃の停滞：なぜゴールが遠かったのか

試合を通じて日本は高いボール支配率を記録し、約69%の時間をボールとともに過ごした。しかし、枠内シュートはわずかに1本と、決定機創出には至らなかった。このスタッツは、日本の長年の課題ともいえる「支配すれどもゴールを奪えず」という状況を改めて浮き彫りにした。

攻撃面での課題は多岐にわたる。アタッキングサードでの質の低さ、アイデア不足は多くのメディアや専門家から指摘されている。オーストラリアが敷いた堅固な守備ブロックを前に、効果的な崩しの形をほとんど見せられず、「外回りのパスばかり」といった単調な攻撃に終始する場面も目立った。結果として、日本代表はこれで2試合連続無得点となり、決定力不足は深刻な問題として横たわっている。

高いポゼッションが必ずしも優位性につながらないこの現象は、相手に引かれて守備を固められた際の攻略法のバリエーションの少なさを示唆している。特に中央を徹底的に固められた場合、どのようにしてゴールをこじ開けるのか、その具体的な戦術プランの欠如が露呈した形だ。さらに、一部の専門家からは、主力選手が不在の際にチームシステム自体が機能不全に陥り、個々の選手が本来の持ち味を発揮しにくい状況が生まれているのではないか、という厳しい指摘もなされている。これは、特定の選手や個の能力に依存した戦術運営の限界を示しているのかもしれない。

注目選手のプレー評価：鎌田、久保、平河、谷など

• 鎌田大地: この試合でキャプテンマークを巻いてフル出場。中盤でボールを引き出し、攻撃の起点になろうと奮闘し、そのボールキープ力や戦術眼の高さを見せる場面もあった。しかし、試合終了間際には失点につながる痛恨のパスミスを犯してしまい、試合後には「最後の失点はもったいなかった」と悔しさを滲ませた。チームの中心としての期待と責任を背負う中でのミスであり、攻撃面での貢献と、試合を決定づけたミスとのコントラストが彼の評価を難しいものにしている。

• 久保建英: 後半19分から途中出場。ピッチに立つと即座に違いを生み出し、個人技で相手守備陣を翻弄。決定的なクロスを供給したり、惜しいシュートを放ったりと、その非凡な才能の片鱗を見せつけた。しかし、最後までゴールネットを揺らすことはできず、チームを勝利に導くことは叶わなかった。短い出場時間でも強烈な存在感を示したが、彼のような個の力を持つ選手をチーム戦術の中でいかに最大限に活かし、得点という結果に結びつけるかが、今後の日本代表にとって重要な鍵となるだろう。

• 平河悠: 代表デビュー戦ながら堂々たるプレーを披露し、フル出場を果たした。右ウイングバックとして積極的な仕掛けを見せ、パンチ力のあるシュートでオーストラリアゴールを脅かすなど、攻守に渡って存在感を発揮。一部メディアからは「最大の発見」と称賛の声も上がった。試合後には「もっと試合を重ねて、個人としてもっと成長できれば」と、さらなる飛躍を誓った。フレッシュな戦力として光明を灯し、今後の代表定着への期待感を抱かせるパフォーマンスだった。

• 谷晃生: GKとして先発のチャンスを得たが、試練の90分間となった。49分には自らのキックミスから相手に決定的なチャンスを与えてしまうなど、不安定なプレーが散見された。このプレーは「看過できない痛恨ミス」と厳しく評価されており、GKの不安定さはチーム全体の守備に影響を及ぼすだけに、ワールドカップ本大会のメンバー入りに向けて大きな課題を残したと言わざるを得ない。

• 俵積田晃太: 平河と同じく代表デビュー戦で先発出場。序盤は緊張からか硬さも見られたが、徐々に持ち味であるドリブル突破を披露し、左サイドからの仕掛けで攻撃の起点になろうと試みた。しかし、所属するFC東京ではシャドーでプレーすることが多く、この試合では慣れない左ウイングバックでの起用となった。チーム全体の攻撃が停滞する中で、大きなインパクトを残すまでには至らなかったが、積極的な姿勢は評価できる。

サッカールーズの勝因：オーストラリアの戦略

堅守速攻：ポポヴィッチ監督の戦術的アプローチ

オーストラリア代表のトニー・ポポヴィッチ監督は、この日本戦に向けて周到な準備と明確な戦術プランを用意していた。試合を通して守備に重点を置き、自陣では5バックともいえる堅固な守備ブロックを形成。日本の選手たちがボールを保持し、攻め込もうとするものの、中央のスペースを徹底的に消し、決定的なチャンスをほとんど作らせなかった ⁷。この戦術は、日本のポゼッションサッカーを研究し尽くし、その弱点を突くことを意図したものだったと考えられる。自陣深くに引くことで日本の攻撃スピードを殺し、中央のスペースを消すことで、日本の得意とする細かなパス交換やコンビネーションプレーを効果的に封じた。

攻撃に転じると、ボール奪取後は素早いカウンターを狙う姿勢を明確に打ち出した。攻撃の機会自体は日本に比べて格段に少なかったものの、試合終盤のワンチャンスを確実にものにする勝負強さを見せつけた。この粘り強い戦いぶりには、ワールドカップ本大会出場権獲得への強い執念が感じられた。

試合後、ポポヴィッチ監督は「日本を下したこと、ホームで終盤に日本に勝利したこと、これ以上に良い台本はない」と、16年ぶりの日本戦勝利の喜びを爆発させた。また、ハーフタイムの選手交代については「もっと力強く、もっと活気とエネルギーを生み出そうとした」とその戦術的意図を語っており、前半の日本の攻勢を耐え忍び、後半の選手交代で流れを変えようと試み、最終的に試合を決めるという執念を見せた。これは、森保監督の「テスト」要素の強い采配とは対照的であり、この試合にかける意気込みの違いも感じられた。

勝負を決めた一撃：ベヒッチの決勝ゴール分析

試合の均衡が破れたのは、後半アディショナルタイム目前の90分だった。オーストラリアは右サイドからのスローインを起点にボールを繋ぎ、途中出場のライリー・マクグリー選手がペナルティエリア内深くまで侵入 ⁶。マクグリー選手が送ったマイナスのクロスに対し、ファーサイドから走り込んできたDFアジズ・ベヒッチ選手が右足ダイレクトで合わせ、ボールはゴール右隅に突き刺さった。

このゴールは、ベヒッチ選手にとって実に13年ぶりとなるオーストラリア代表での得点であり、チームにとっては16年ぶりの日本戦勝利を決定づける、まさに劇的な一撃となった。日本の守備陣にとっては、一瞬の隙を突かれた形であり、試合終盤における集中力の差、そしてゴールへの執念の差が結果として表れたと言えるだろう。

試合を分けた瞬間：ターニングポイントの深掘り

この緊迫した一戦の勝敗を分けたターニングポイントは、いくつかの局面に集約される。

まず最も直接的なのは、やはり90分の失点シーンだ。報道によれば、この失点は鎌田大地選手のパスミスからオーストラリアボールとなり、右サイドを崩された流れの中で生まれた。また、日本のDF瀬古歩夢選手が相手選手と入れ替わられてしまった場面も指摘されており、単なるワンチャンスというよりも、試合終盤における日本の集中力の低下や、経験の浅い選手が出場していたことによる一瞬の判断ミスなどが複合的に絡んだ可能性が考えられる。この失点により、日本は今最終予選で初めての黒星を喫することとなった。

次に、日本の決定機逸も大きなポイントだ。後半、途中出場の久保建英選手が放ったシュートは惜しくもポストを直撃し、前半には鈴木唯人選手のシュートが枠を捉えられないなど、数少ないチャンスをものにできなかった。もしこれらのチャンスのいずれか一つでも決まっていれば、試合展開は全く異なるものになっていた可能性が高く、決定力の差が勝敗を分けた大きな要因であったことは間違いない。

そして、オーストラリアの戦術的忍耐も勝敗を分けた重要な要素と言える。90分間、守備の規律を保ち続け、日本の猛攻を耐え凌ぎながら、虎視眈々とカウンターの機会を狙い続けたオーストラリアの戦いぶりは見事だった。日本が攻めあぐねている間に、オーストラリアは焦れることなく自分たちのゲームプランを遂行し続けた。この忍耐力と戦術遂行能力が、最終的な勝利を手繰り寄せたと言えるだろう。この戦い方は、ワールドカップ本大会で格上の相手と戦う際の、日本代表にとっての手本ともなり得るかもしれない。

識者の目：専門家・メディアはどう見たか

このオーストラリア戦の結果と内容について、国内外の専門家やメディアからは様々な意見が寄せられた。

総じて、日本の攻撃パフォーマンスに対する厳しい評価が目立った。多くのメディアが、日本の決定力不足、そして攻撃におけるアイデアの欠如を指摘。枠に飛ばないシュートの多さや、試合展開の乏しさから、「眠くなる試合だった」といったファンの辛辣な声もSNS上では散見された。元日本代表の本田泰人氏は、自身のコラムで「ひどい試合だった」「外回りのパスばかりで何もできずに自滅した試合」と手厳しく酷評している。

森保監督の采配に対しても疑問の声が上がった。ワールドカップ本大会出場が決定していたとはいえ、最終予選の、しかも難敵オーストラリアとのアウェイゲームで大幅にメンバーを落としたことについて、「何を試したいのか、その目的がぼやけていた」といった指摘や、「森保ジャパンの化けの皮がはがれた」とまで表現し、主力選手不在時のシステムの問題点を鋭く指摘する専門家もいた。

一方で、オーストラリアの戦術に対しては称賛の声が多く聞かれた。堅固なブロック守備を90分間維持し、「決して負けない」という強い覚悟を持って試合に臨んだ姿勢は高く評価されている。また、ポポヴィッチ監督の的確な采配と、試合終盤に決勝点を奪い切った勝負強さを評価する向きも見られた。

個々の選手評に目を向けると、代表デビューを果たした平河悠選手に対しては、「唯一可能性を感じた」「最大の発見」といったポジティブな評価が複数のメディアで見られた。キャプテンを務めた鎌田大地選手や途中出場の久保建英選手は、随所で個の能力の高さを示したものの、チームを勝利に導くには至らなかったという評価が一般的だ。そして、GK谷晃生選手のミスについては、厳しい論調で報じられている。

総括すると、専門家やメディアの論調は、日本のパフォーマンス、特に攻撃面と森保監督の采配に対して批判的なものが多くを占めた。しかし、オーストラリアの戦術的勝利や、平河選手など一部の若手選手の健闘には一定の評価が与えられており、この敗戦が日本代表にとって重要な警鐘と捉えられていることがうかがえる。

次戦へ、そしてW杯へ：今後の展望と課題

この敗戦から学ぶべき教訓

このオーストラリア戦での敗戦は、日本代表にとって多くの教訓を残した。ワールドカップ本大会に向けて、克服すべき課題が明確になったと言えるだろう。

まず最重要課題として挙げられるのは、決定力の向上だ。ボールポゼッションを高めても、それをゴールという結果に結びつけられなければ勝利は遠い。アタッキングサードでの具体的な戦術の浸透、そして個々の選手のシュート精度向上は急務である。

次に、引いた相手を崩す戦略の確立も不可欠だ。相手に研究され、守備を固められた際に、どのようにしてゴールをこじ開けるのか。単調なサイド攻撃に終始するのではなく、中央突破のアイデアや、セットプレーの質の向上など、攻撃パターンのバリエーションを増やす必要がある。

また、若手と主力の融合も今後の大きなテーマとなる。若手選手の経験蓄積は重要だが、チームとしての完成度を高めるためには、主力選手とのスムーズな連携、そしてチーム戦術への適応が不可欠だ。

さらに、リードされた展開や膠着状態を打破するための試合運びの巧さも、ワールドカップ本大会を戦い抜く上では求められる。この敗戦は、ワールドカップ本大会で強豪国と対戦する際のシミュレーションと捉えることもできる。格上の相手に守りを固められ、少ないチャンスをものにされるという展開は本大会でも十分に起こりうるシナリオであり、その際の対応策を具体的に準備しておく必要があるだろう。

インドネシア戦へ向けての修正点

日本代表の次戦は、ホームで行われるインドネシア代表とのアジア最終予選最終戦だ。このオーストラリア戦での課題を即座に修正し、勝利という結果を出すことで、チームの自信を取り戻すことが重要となる。攻撃陣の再編や得点パターンの確認、そして試合終了まで守備の集中力を維持することなどが、具体的な修正点として挙げられるだろう。ホームのサポーターの前で鬱憤を晴らす快勝を期待したい。

W杯本大会への道筋

FIFAワールドカップ2026アジア最終予選 グループC 順位表 (2025年6月5日試合終了時点)

この順位表が示す通り、日本は敗れはしたもののグループ首位を維持し、すでにワールドカップ本大会出場権を獲得している。この状況が、森保監督の実験的な選手起用を後押しした側面もあるだろう。しかし、ワールドカップ本大会での目標達成（ベスト8以上など）のためには、アジア予選レベルで露呈する課題は克服していて当然と言える。残された時間でチームの完成度をどこまで高められるか、そして本大会を見据えた最適解のメンバー選考を進められるかが問われる。この敗戦を「良薬」とし、チームが一段階進化するための触媒とできるかどうか、そこに森保ジャパンの真価が試されることになるだろう。

オーストラリア戦を終えて思うこと

若手主体で臨んだ日本代表にとって、このオーストラリア戦は厳しい現実を突きつけられた一戦だった。ボールを支配しながらも得点を奪えないという、長年の課題が改めて浮き彫りになった。相手の堅守を前に攻めあぐね、効果的な打開策を見出せないまま時間だけが過ぎていく展開は、多くのサポーターにとってフラストレーションの溜まるものだったに違いない。

一方で、オーストラリア代表のしたたかな戦術と、勝利への執念は見事だった。自国開催のプレッシャーの中で、格上と目される日本を相手に最後まで集中力を切らさず、少ないチャンスを確実にものにした戦いぶりは称賛に値する。

しかし、この敗戦は決して無駄ではない。明確になった課題と真摯に向き合い、ワールドカップ本大会に向けてチームを強化するための貴重な経験と捉えたい。ピッチに立った若きサムライたちの悔しさをバネにした奮起と、チーム全体のさらなる進化に期待し、引き続き熱い声援を送りたい。

最終予選は残り1試合。ホームで迎えるインドネシア戦で、この敗戦の鬱憤を晴らすような快勝を見せてくれることを心から願っている。

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