ブレイス(Brace)サッカー用語の完全解剖:定義から語源、世界的ストライカーの記録まで徹底解説
1. サッカーにおける「ブレイス」の定義とハットトリックとの構造的差異
サッカーというスポーツにおいて、得点を決めるという行為は最大のカタルシスをもたらす瞬間です。その得点が1試合の中で複数回繰り返されるとき、そこには特別な称号が与えられます。最も有名なものは「ハットトリック(3得点)」ですが、より頻繁に発生し、かつ試合の勝敗を決定づける重要なパフォーマンスとして「ブレイス(Brace)」が存在します。本章では、この「ブレイス」という用語の定義を深く掘り下げ、他の得点記録との違いを明確にします。
1-1. ブレイス(Brace)の正確な意味と成立条件
「ブレイス(Brace)」とは、サッカーにおいて**「1人の選手が1試合の中で2得点を挙げること」**を指す専門用語です 1。
日本のメディアや日常会話では単に「2ゴール」「2得点」と表現される場合が多いですが、英語圏を中心としたフットボールカルチャーでは、この「ブレイス」という言葉が確立された地位を持っています。実況解説者が「He’s secured a brace!(彼はブレイスを確保した!)」と叫ぶシーンは、プレミアリーグなどの中継で頻繁に耳にします。
ブレイスが成立するための条件は非常にシンプルでありながら、いくつかの重要なポイントを含んでいます。
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同一試合であること: 前半と後半、あるいは延長戦を含めた1つの試合時間内に2得点を記録する必要があります。PK戦での得点は通常、公式記録としてのゴール数にはカウントされないため、ここには含まれません。
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得点手段は問わない: 流れの中からのフィールドゴール、フリーキック、ペナルティキック(PK)、ヘディングなど、どのような形であっても、正規のゴールであればカウントされます。例えば、1点目がPK、2点目がヘディングシュートであっても、それは立派なブレイスです。
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連続性の不問: 最も誤解されやすい点ですが、ブレイスを達成するために「2得点が連続している必要」はありません。
1-2. ハットトリックとの比較と「連続性」に関する誤解
得点数を表す用語として最もポピュラーな「ハットトリック(Hat-trick)」と比較することで、ブレイスの特性がより鮮明になります。
| 用語 | 得点数 | 語源的背景 | 連続性の要否 | 頻度と希少性 |
| ブレイス (Brace) | 2 | 狩猟(つがい) | 不要 | 比較的頻繁(エース級ならシーズン複数回) |
| ハットトリック (Hat-trick) | 3 | クリケット(帽子贈呈) | 不要 | 稀(キャリアハイの象徴となることが多い) |
| ポーカー (Poker) | 4 | カードゲーム | 不要 | 極めて稀 |
ここで強調すべき事実は、ブレイスもハットトリックも、**「得点が連続している必要はない」**という点です 。
例えば、ある試合で以下のような得点経過があったとします。
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前半10分: 選手Aが得点(1-0)
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前半30分: 選手Bが得点(1-1)
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後半45分: 選手Cが得点(1-2)
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後半80分: 選手Aが得点(2-2)
このケースでは、選手Aの1点目と2点目の間に、選手Bと選手Cのゴールが挟まっています。しかし、試合終了時点で選手Aの個人成績は「2得点」となるため、これは公式に「ブレイス」として記録されます。ハットトリックについても同様で、間に他の選手が得点を挟んだとしても、1試合で3得点を挙げれば成立します。
日本ではかつて「無傷のハットトリック(得点を挟まずに3連続得点)」や「パーフェクト・ハットトリック(右足・左足・頭でそれぞれ得点)」といった細かい分類が話題になることがありましたが、基本用語としてのブレイスやハットトリックは、純粋に「数」を数えるための言葉として機能しています 4。
2. 「ブレイス」の語源:11世紀の狩猟文化と言語学的ルーツ
なぜ「2」を意味する言葉として「Double(ダブル)」や「Two(ツー)」ではなく、「Brace(ブレイス)」という独特な単語が使われるのでしょうか。その答えを探るためには、サッカーが誕生するはるか昔、中世ヨーロッパの生活様式と貴族文化にまで遡る必要があります。
2-1. 中世イングランドにおける「キジのつがい(A brace of pheasants)」
「Brace」という言葉の起源は、スポーツではなく**「狩猟(ハンティング)」**にあります。
語源学的に見ると、「Brace」は古フランス語の「brace(腕)」やラテン語の「bracchia(両腕)」に由来し、そこから「一対」「つがい」「二つで一組のもの」という意味を持つようになりました。
特にイギリスの狩猟文化において、猟師たちは仕留めた獲物を数える際に独自の単位を用いていました。撃ち落とした鳥、特に「キジ(Pheasants)」や「ヤマウズラ(Partridges)」、「カモ」などを持ち運ぶ際、紐で2羽をひとまとめにして縛ることが一般的でした。この「2羽セット」の状態を指して、**「A brace of pheasants(キジの一対)」**と呼んでいたのです。
歴史的な文献にもこの用法は残っています。1059年、イングランドのハロルド王が出した命令書の中に、ウォルサム・アビーの聖職者たちへの食料提供に関する記述があります。そこで王は、「A brace of partridges(ヤマウズラの一対)」の代わりに「commons pheasant(一般のキジ)」を提供するという記述を残しています。これは、当時から「Brace」という言葉が、獲物を数える際の公式な単位として定着していたことを示す貴重な証拠です。
2-2. 狩猟用語からスポーツ用語への転換と定着
狩猟用語であった「Brace」がサッカー用語として定着した背景には、サッカーにおけるゴールを「獲物を仕留める行為」に見立てるメタファーが存在します。
ストライカー(FW)はしばしば「ゴールハンター」と呼ばれます。彼らが相手の守備網をかいくぐり、ゴールネットを揺らす行為は、猟師が獲物を仕留める瞬間に通じるものがあります。1試合で2つのゴール(獲物)を仕留めた選手に対して、かつての狩猟文化の名残である「Brace」という言葉が適用されたのは、非常に自然な言語的進化でした。
現代の肉屋において、「A brace means a male and a female(ブレイスとはオスとメスのつがいのことだ)」と説明されることがありますが、これは生物学的なペアを指す場合です。しかし、サッカーの文脈においては性別や組み合わせは関係なく、純粋に「2という数量」を表す言葉として機能しています。この言葉には、「単に2点取った」という事実以上の、歴史的な重みとハンターとしての称賛が含まれているのです。
3. 世界のフットボール言語学:各国における「2得点」の表現
「ブレイス」は主に英語圏で使われる用語ですが、サッカーは世界共通のスポーツです。欧州の主要リーグには、それぞれの言語の響きを持った「2得点」を表す用語が存在します。これらの言葉を知ることは、海外サッカーのニュースや実況をより深く理解するための鍵となります。
3-1. イタリア・セリエAの「ドッピエッタ(Doppietta)」
イタリア語で2得点を意味する言葉は**「ドッピエッタ(Doppietta)」**です 1。
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語感と文化: イタリア語特有のリズミカルな響きを持ち、セリエAの熱狂的な実況で頻繁に叫ばれます。「二重」「二連発」といった意味を持ち、猟銃の「二連銃」を指す言葉でもあります。ここにも「2つで1組」という共通の概念が見て取れます。
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使用例: 現地紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』の見出しでは、「Doppietta di Lautaro!(ラウタロのドッピエッタ!)」のように、選手名の前に冠してその偉業を称えることが一般的です。
3-2. スペイン・ラ・リーガの「ドブレーテ(Doblete)」
スペイン語圏、特にラ・リーガや南米のリーグでは**「ドブレーテ(Doblete)」**が使われます。
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多義性: 「Double(ダブル)」に相当する言葉であり、文脈によって意味が広がります。1試合2得点を指す場合もあれば、1シーズンにリーグ戦とカップ戦の両方を制する「2冠」を指して「ドブレーテ」と呼ぶこともあります。しかし、試合レポートの中で選手のスタッツについて語られている場合、それは間違いなくブレイス(2得点)を指しています。
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バスケットボールでの使用: バスケットボールにおいて、得点やリバウンドなどの主要スタッツが2桁に達する「ダブル・ダブル」を指す際にも用いられることがあります。
3-3. ドイツ・ブンデスリーガの「ドッペルパック(Doppelpack)」
ドイツ語では**「ドッペルパック(Doppelpack)」**という力強い表現が定着しています。
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直訳の妙: 直訳すると「ダブルパック(2個入り)」となります。スーパーマーケットで商品が2つセットで売られている様子を連想させますが、サッカーにおいては「2つのゴールをセットで持ち帰る」というポジティブな意味合いで使われます。
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実況の響き: ドイツ語の実況は情熱的かつ論理的です。「Ein Doppelpack für Kane!(ケインのドッペルパックだ!)」というフレーズは、バイエルン・ミュンヘンの試合などで頻繁に耳にするようになりました。
3-4. フランス・リーグアンの「ドゥーブレ(Doublé)」
フランス語では**「ドゥーブレ(Doublé)」**と呼ばれます。
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ニュアンス: 英語の「Double」と同じ語源ですが、フランス語の発音によりエレガントな響きを持ちます。キリアン・エムバペがパリ・サンジェルマン時代に量産していたのが、まさにこのドゥーブレでした。
以下の表は、主要言語における2得点の呼び方をまとめたものです。
| 言語 | 用語 | 日本語読み | 主な使用リーグ |
| 英語 | Brace | ブレイス | プレミアリーグ、MLS |
| イタリア語 | Doppietta | ドッピエッタ | セリエA |
| スペイン語 | Doblete | ドブレーテ | ラ・リーガ |
| ドイツ語 | Doppelpack | ドッペルパック | ブンデスリーガ |
| フランス語 | Doublé | ドゥーブレ | リーグ・アン |
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4. プレミアリーグ2024-25シーズンにおけるブレイス達成者の分析
世界最高峰のインテンシティを誇るプレミアリーグ(PL)では、2024-25シーズンも数多くのブレイスが生まれ、順位争いや得点王レース(ゴールデンブーツ)の行方を左右しています。ここでは、特にブレイスを量産する3名の選手に焦点を当て、そのスタッツとプレースタイルを分析します。
4-1. アーリング・ハーランド:マンチェスター・シティの得点マシーン
マンチェスター・シティの絶対的エース、アーリング・ハーランドは、現代サッカーにおいて最も「ブレイス」という言葉が似合う選手です。彼の得点ペースは異次元であり、1点取れば必ず2点目を狙いにいく貪欲さがデータに表れています。
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2024-25シーズンの驚異的なペース:
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シーズン序盤からエンジン全開で、開幕5試合の時点で既に二桁得点に到達するというプレミアリーグ最速記録を樹立しました。
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第4節のブレントフォード戦などでブレイスを達成し、チームの勝利を決定づけています 9。
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彼のプレミアリーグ通算ブレイス回数は27回を超えており(2025年時点の推計)、これは歴代のレジェンドたちと比較しても驚異的なハイペースです。
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ブレイスのメカニズム:
ハーランドのブレイスには典型的なパターンがあります。1点目は味方からのスルーパスやクロスに合わせたワンタッチゴール、あるいはPKで確実に沈めます。そして相手チームが同点に追いつこうと前がかりになり、背後にスペースが生まれた時間帯に、圧倒的なスプリント力で抜け出して2点目を奪います。この「フィジカル」と「決定力」の融合が、彼をブレイス・マシーンたらしめています。
4-2. モハメド・サラー:リヴァプールを支える一貫性
リヴァプールの「エジプトの王」、モハメド・サラーもまた、長年にわたりブレイスを記録し続けている選手です。
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重要な試合での仕事:
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2024-25シーズンにおいても、ブライトン戦やアストン・ヴィラ戦、そしてマンチェスター・シティ戦といった強豪相手のビッグマッチでゴールを重ねています。
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サラーの特筆すべき点は、得点だけでなくアシストも記録しながらブレイスを達成する「支配力」にあります。右サイドからカットインしての左足シュート、そして冷静なPK。これらが彼のブレイスを支える武器です。
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2017年のリヴァプール加入以来、毎シーズンのように得点ランキング上位に名を連ねており、ブレイスの積み重ねが彼の安定したキャリアを証明しています。
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4-3. コール・パーマー:チェルシーの若き天才と「ホール」の衝撃
2023-24シーズンに彗星のごとく現れ、2024-25シーズンもチェルシーの攻撃を牽引するコール・パーマーは、新たなブレイスの常連となりました。
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伝説となった「前半4得点」:
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2024年9月のブライトン戦において、彼は**「前半だけで4得点(ポーカー)」**を記録しました。これはプレミアリーグ史上初の快挙です。
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4得点ということは、すなわち「2回のブレイス」をわずか45分間で達成したことになります。FK、PK、流れの中からのシュートと、あらゆるパターンで得点を奪いました。
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トッテナム戦などのダービーマッチでもPKを含む得点を重ねており、プレッシャーのかかる場面でのメンタルの強さが光ります。
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| 選手名 | 所属クラブ | 特徴的なブレイスのパターン |
| アーリング・ハーランド | マンチェスター・C | カウンターからの独走、ボックス内でのワンタッチ |
| モハメド・サラー | リヴァプール | 右サイドからのカットイン、PK、カウンター |
| コール・パーマー | チェルシー | スルーパスへの抜け出し、直接FK、冷静なPK |
5. セリエAにおける複数得点の美学と歴史的記録
イタリア・セリエAはかつて守備の国「カテナチオ」として知られていましたが、近年は戦術の進化により攻撃的なチームが増加し、ドッピエッタ(ブレイス)が頻出するリーグへと変貌を遂げました。
5-1. ラウタロ・マルティネスとインテルの攻撃戦術
インテル・ミラノのキャプテン、ラウタロ・マルティネスは、セリエAにおけるドッピエッタの象徴です。
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2024-25シーズンの復活劇:
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シーズン序盤、一時的にゴールから遠ざかっていたラウタロですが、ウディネーゼ戦での勝利(3-2)において決定的なドッピエッタを記録し、完全復活を遂げました 16。
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この試合での2得点は、彼が持つ「アウェイゲームでの強さ」を再確認させるものでした。2018-19シーズンのデビュー以来、彼はアウェイでの複数得点記録においてリーグトップクラスの数字を残しています。
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ラウタロのドッピエッタは、しばしば相棒(マルクス・テュラムなど)との連携から生まれます。相手ディフェンダーを引きつけ、空いたスペースを突く動きは、チーム戦術の中で彼がいかに重要な役割を果たしているかを物語っています。
5-2. 歴代のカルチョ・レジェンドたちが残した数字
セリエAの長い歴史を振り返ると、ドッピエッタの記録は偉大なレジェンドたちの足跡そのものであることがわかります。
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最多ブレイス記録: グンナー・ノルダール、ジュゼッペ・メアッツァ、シルヴィオ・ピオラといった伝説的な選手たちが、キャリア通算で50回という驚異的な数のブレイス(ドッピエッタ)を記録しています 18。
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フランチェスコ・トッティ: ローマの英雄トッティも48回のブレイスを記録しており、現役時代の彼がいかに勝負強いスコアラーであったかが数字に表れています。
2024-25シーズンの得点ランキングにおいても、マテオ・レテギ(アタランタ)やマルクス・テュラム(インテル)といった選手たちが上位を争っており、彼らもまた1試合で固め取りを行うことでランキングを駆け上がっています。
6. Jリーグ(J1)におけるブレイスのインパクトと外国人枠の決定力
視点を日本のJリーグ(明治安田J1リーグ)に移しましょう。Jリーグにおいても「ブレイス」は勝利への直通切符です。特に外国人ストライカーの個の力による2得点は、戦術を超越して試合を決めるパワーを持っています。
6-1. アンデルソン・ロペス:横浜F・マリノスの逆転劇を演出する左足
2024年シーズン、J1リーグで猛威を振るったのが横浜F・マリノスのアンデルソン・ロペスです。
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劇的な開幕戦: 東京ヴェルディとの開幕戦、マリノスは終了間際までリードを許す苦しい展開でした。しかし89分、アンデルソン・ロペスがPKを沈めて同点。さらにアディショナルタイムには松原健の逆転ゴールが生まれましたが、そのお膳立てをした同点弾のプレッシャーは計り知れないものでした 20。
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国立競技場での爆発: 第28節など、シーズン中盤には重要な試合でブレイスを達成し、得点ランキングのトップ争いに食い込みました。彼は「国立競技場に強い」というジンクスも持っており、大舞台で複数得点を挙げるスター性を持っています。セレッソ大阪戦での4-0の圧勝劇でも、彼のブレイスがチームに勢いをもたらしました。
6-2. レオ・セアラ:セレッソ大阪の得点源としての多様性
セレッソ大阪のブラジル人FW、レオ・セアラもまた、高い決定力でブレイスを量産する選手です。
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タイトルを決定づける活躍: 鹿島アントラーズ戦では、チームの勝利を決定づける2得点を挙げました。彼の得点は、クロスに対するヘディング、ボックス内での混戦からのボレー、そしてPKと、形を選ばないのが特徴です。 2024年シーズンを通じてコンスタントに得点を重ね、得点王争いの中心に居続けました。彼のブレイスは、チームが苦しい時にこそ生まれる「頼れるエース」の証です。
6-3. 大迫勇也:ヴィッセル神戸のタイトルを手繰り寄せる絶対的エース
日本人選手として別格の存在感を放つのが、ヴィッセル神戸の大迫勇也です。
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劇的すぎる幕切れ: 2023年シーズンのハイライトとなりますが、浦和レッズ戦でのパフォーマンスは語り草です。1-1で迎えた後半アディショナルタイム、浦和GK西川周作が攻撃参加した隙を突き、GK前川黛也からのロングフィードを受けた大迫が無人のゴールへ流し込みました。このゴールを含め、彼は重要な局面で複数得点を挙げる勝負強さを持っています。
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プレースタイル: 大迫のブレイスは、単なるフィニッシャーとしての得点だけではありません。強靭なポストプレーで味方を生かしつつ、自らもゴール前に顔を出して仕留める。フリーキックからの直接ゴールもあり、セットプレーと流れの中の両方で得点できる万能性が、彼のブレイスを支えています。
6-4. キャスパー・ユンカー:名古屋グランパスの決定機を逃さない嗅覚
名古屋グランパスのキャスパー・ユンカーも、固め取りの名手です。
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左足の魔術師: FC東京戦ではハットトリックを達成しましたが、その過程での2得点目(ブレイス達成時)の時点で、彼の鋭い裏への抜け出しと左足のシュート精度は相手ディフェンダーを絶望させていました。 浦和レッズ時代から「ワンチャンスをモノにする」能力に長けており、少ないタッチ数でゴールを陥れる彼のスタイルは、ブレイスを生み出しやすい特性を持っています。
7. 2得点を超える領域:ポーカー、マニータ、そしてホールの世界
ブレイス(2得点)やハットトリック(3得点)のさらに先、1試合で4得点や5得点を決めた場合、どのような言葉が使われるのでしょうか。これらは公式記録用語ではありませんが、ファンの間やメディアで愛用されるスラングが存在します。
7-1. 4得点を指す「ポーカー(Poker)」と「ホール(Haul)」
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ポーカー(Poker): スペイン語圏やイタリア語圏で広く使われます。トランプゲームのポーカーにおける「フォー・オブ・ア・カインド(4枚揃い)」に由来します 3。クリスティアーノ・ロナウドやルイス・スアレスがリーガ・エスパニョーラで4得点を決めた際、翌日の新聞には「Póker!」の文字が踊りました。
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ホール(Haul): 英語圏では「Haul(ホール)」という表現が一般的です。「大量の獲物」「ごっそり稼ぐ」といった意味があり、「Four-goal haul(4得点の荒稼ぎ)」といったフレーズで使われます。前述のコール・パーマーが4得点した際も、英国メディアはこの言葉を多用しました。
7-2. 5得点の偉業「マニータ(Manita)」と「グラット(Glut)」
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マニータ(Manita): スペイン語で「小さな手」を意味します。片手の指が5本あることに由来し、5得点(または5-0の勝利)を指してこう呼びます。バルセロナがレアル・マドリードとの「エル・クラシコ」で5-0の大勝を収めた際、ジェラール・ピケが手を広げて5本の指を見せたポーズは、マニータの象徴的なシーンとして記憶されています。
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グラット(Glut): 英語で「供給過多」「満腹」を意味する古い表現ですが、現代ではあまり一般的ではなく、シンプルに「Five goals」と表現されることが多いです。ロベルト・レヴァンドフスキがバイエルン時代に9分間で5得点を決めた際は、もはや言葉を超えた「歴史的事件」として扱われました。
8. 結論:現代サッカーにおけるブレイスの価値
本レポートでは、「ブレイス(Brace)」という言葉の定義、歴史的背景、そして現代サッカーにおける実例を詳細に分析してきました。
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用語の確立: ブレイスは「1試合2得点」を指す確立されたサッカー用語であり、連続ゴールの必要はありません。
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歴史的深み: その語源は中世イングランドの狩猟文化にあり、「獲物を2つ仕留める」というハンターとしての称賛が込められています。
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世界的な広がり: イタリアの「ドッピエッタ」、ドイツの「ドッペルパック」など、各国に独自の表現が存在し、サッカー文化の豊かさを象徴しています。
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勝負の分かれ目: アーリング・ハーランドやアンデルソン・ロペスの例に見るように、エースストライカーによるブレイスは、チームに勝ち点3をもたらす最も強力な原動力です。
今後、サッカー中継を見る際には、選手が1点目を決めた後に注目してみてください。「彼は今日、ブレイスを達成できるか?」という視点は、試合の緊張感と興奮を倍増させてくれるはずです。そして2点目が決まった瞬間、心の中で、あるいは友人にこう呟いてみてください。「ナイス・ブレイス!」と。それは、1000年前の猟師たちから続く、得点者への最大級の敬意を含んだ言葉なのです。
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